太陽光発電の買取価格は25円へ、住宅用も30円前後まで下がる自然エネルギー(1/2 ページ)

政府は2016年度の買取価格の検討に入った。焦点になる太陽光の価格はさらに引き下げる方針だ。非住宅用は現行の27円を25円に、住宅用は33〜35円を30円前後まで下げる可能性がある。風力・中小水力・地熱の買取価格は据え置くが、バイオマスは種類によって変更も考えられる。

» 2016年01月20日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 再生可能エネルギーによる電力の買取価格を検討する「調達価格等算定委員会」が1月19日に始まった。注目は太陽光発電の買取価格だが、2016年度も引き下げることは確実な状況だ。出力が10kW(キロワット)未満の住宅用と10kW以上の非住宅用ともに、発電設備の導入費用が前年度から低下して、買取価格を引き下げる要因になっている。

 2015年度の買取価格は住宅用が33〜35円で、非住宅用は7月に27円(税抜き)まで下がった(図1)。過去4年間で住宅用は7〜9円、非住宅用は13円も安くなっている。5種類の再生可能エネルギーのうち太陽光の導入量が突出して拡大したために、政府は今後も太陽光の買取価格を引き下げていく。

図1 2015年度の買取価格(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 買取価格を決める要素は4つある。発電システムの導入費用や土地の造成費など初期にかかる「資本費」のほか、稼働後の「運転維持費」、発電量を左右する「設備稼働率」、さらに事業者の採算性を見込んだ「IRR(内部収益率)」である(図2)。2016年度の買取価格を決定するにあたり、非住宅用の太陽光発電ではシステムの導入費用が前年度からわずかながら低下している。

図2 太陽光発電(非住宅用、出力10kW以上)の買取価格を決定する前提条件。出典:資源エネルギー庁

 これまでに運転を開始した発電設備のデータを集計したところ、2014年と2015年では平均して1kW(キロワット)あたり1.8万円のコストダウンが見られる(図3)。2015年度の買取価格を決めた時点のシステム費用は29万円を想定していたことから、2016年度は27万円を前提に価格を決定する見通しだ。政府は太陽光発電を抑制するために、システム費用を低めに設定する傾向がある。

図3 太陽光発電(非住宅用、出力10kW以上)のシステム費用(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 システム費用のほかには変動する要因は見られなかった。このためシステム費用の低下分をもとに、非住宅用の買取価格は電力1kWh(キロワット時)あたり2015年度の27円から2016年度には25円に引き下げる案が有力である。現在の家庭向けの電気料金の平均単価が24円程度であることを考えると、いよいよ太陽光発電の買取価格は電気料金の水準に近づく。

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