九州電力は福岡県で運転中の火力発電所の構内に世界最大級の蓄電システムを導入した。太陽光発電など再生可能エネルギーの電力が増加した時に需給バランスを調整する目的だ。1日あたり3万世帯分の電力を蓄えることができる。2016年度末まで実証試験を続けて利用効果を検証する。
福岡県の東部にある「豊前(ぶぜん)発電所」の構内の空きスペースに蓄電システムを導入して、3月3日に運用を開始した(図1)。国から「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」を受託したプロジェクトで、2017年3月まで実証試験を実施する予定だ。九州で大きな課題になっている再生可能エネルギーの拡大に取り組んでいく。
採用した蓄電池の種類はNAS(ナトリウム硫黄)電池で、大容量の蓄電システムを低コストで構築できる利点がある。NAS電池1台で最大200kW(キロワット)の電力を充電・放電することが可能だ。全体で252台を導入して、合計すると5万400kWまで対応できる(図2)。
蓄電システム全体で貯蔵できる電力量は30万kWh(キロワット時)にのぼる。九州電力によると世界で最大級の容量を備えた蓄電システムである。一般家庭の使用量(1日あたり10kWh)に換算して3万世帯分の電力を調整可能だ。交流の電力を直流に変換して蓄電池に充電する必要があるため、変換用のパワーコンディショナー(PCS、1台あたりの出力800kW)を63台も導入する大規模な構成になった。
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