風車や売電債権を担保に小型風力事業を推進、風況の良い青森で自然エネルギー

青森銀行は青森県内で小形風力発電事業を計画する個人事業者に、ABL(アセット・べースト・レンティング、動産担保融資)を実施した。商品・機械などの動産を担保として活用し、不動産や個人保証に過度に依存しない資金調達の仕組みだ。

» 2016年03月11日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 青森銀行は青森県内の事業者が実施する小形風力発電事業の設備資金に対し、ABL(アセット・べースト・レンティング、動産担保融資)を実施した。ABLは企業が保有する動産や売掛債権などを担保として活用する融資方法。従来担保として利用されていない商品・機械などの動産の価値に着目することで、不動産や個人保証に過度に依存しない資金調達が可能となる仕組みだ。

 今回は再生可能エネルギーを活用した新事業への取り組みによるビジネスチャンスの創出および地域貢献を目的に、県内の個人事業者が計画した同事業へ融資した。具体的な事業内容は同県大間町に総事業費約2100万円を投入し、1基当たりの発電出力9.9kW(キロワット)の風車(米バーギー社製)を設置したもの(図1)。

図1 設置した風車の外観 出典:青森銀行

 1基当たり年間約200万円の売電収入を想定し、2016年2月29日より稼働を開始している。設備の工事元請業者、販売代理店は青森市で建築・塗装を手掛ける環境美装。同社は小形風力に関するセミナーを開催するなど、風力発電の普及に取り組んでいる。また、設計、基礎施工、組み立てはアスコ建築構造室(青森市)、電気設備施工は高橋電気工業(同)が請け負った。

 売電を目的とした小形風力発電は全国的にも実績は少ないが、青森県は風況が良好で立地上風力発電事業に適しているとみられている。青森銀行は小形風力発電事業(発電設備および売電債権)の事業価値に着目した融資の手法としてABLの活用を提案し、成約に至った。なお、これまでリンゴ、米、木材・木質チップ、クレーン車両、産業用ロボット、太陽光発電設備、診療報酬などを担保としたABLを実施したことがある。

 同行では今後も地域密着金融推進の観点から引き続きABLを積極的に活用して地元金融機関としてのコンサルティング機能を発揮し、資金調達のニーズに対応し、地域経済の発展に貢献していく方針だ。

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