災害時にも活躍する自立型の電子看板、防犯カメラやWi-Fiスポットもスマートシティ

大日本印刷(DNP)は、太陽光発電、風力発電、蓄電池を組み合わせた自然エネルギーシステムを搭載した、省エネルギー型のデジタルサイネージ(電子看板)を4月1日から発売する。災害時の緊急情報の発信や安否確認などができ、防犯カメラの搭載も可能だという。

» 2016年03月22日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 大地震などの災害発生時には、交通機関のマヒや多くの帰宅困難者の発生が予想されるが、停電やアクセス集中などによりスマートフォンなどの情報端末が使えなくなり、多くの人々が災害情報を迅速に入手することが出来ないなどの課題がある。DNPは、この様な課題を解決するため、2014年11月に自然エネルギーシステムを搭載した、省エネルギー型のデジタルサイネージを開発し、約1年間にわたり、発電量や機器の耐久性、性能確認などの実証実験を行ってきた。

 新製品は風力発電と太陽光発電を搭載したハイブリッドタイプ(850万円)と太陽光発電のみのスタンダードタイプ(550万円)の2種類(図1)。平常時は、企業の広告や地域情報、防災に役立つ情報を発信するデジタルサイネージとして使用する。災害発生時には、緊急地震速報や避難場所の告知、被災情報や安否情報、インフラや交通機関の運行情報、最新のニュースや天気予報などの生活者関連情報を適時発信することが可能な情報発信ステーションとして活用できる。企業や自治体が情報発信する場合、省エネタイプの同サイネージを活用することは、地球温暖化防止への強いメッセージとなり、CSR・環境保全活動の1つとして有効だ。

photo 図1 DNPの自立型デジタルサイネージシステム(ハイブリッドタイプ) 出典:DNP

 同サイネージには防犯カメラを取り付けることも可能で、街全体の電力の有効利用を図り、安心安全な街づくりに貢献する。日本を訪れる外国人観光客が年々増加する中、外国人観光客の要望としてWi-Fiスポットの設置が望まれている。このサイネージにはWi-Fiスポットを搭載することが可能で、インバウンド施策にも活用できる。

 平常時の電源は、商業電源と自然エネルギーから発電した電気を併用して使用する。停電時には、自然エネルギーと蓄電池の電力を用いて情報を発信する。ハイブリッドタイプの場合、液晶ディスプレイは停電後約4時間稼働。また、電子ペーパーは蓄電池と自然エネルギーを利用して情報を表示し、自然エネルギーによる発電量がゼロの場合でも約3日間情報を表示する。

 ハイブリッドタイプのサイネージには、DNPが開発したスマートフォンなどのモバイル端末向けの情報配信端末「プチポルタ」を搭載した(スタンダードタイプもオプションで搭載可能)。スマートフォンや携帯電話をかざすだけでURLを取得してサイトへの誘導ができる。安否確認サイトを設定することで災害時の安否確認が可能になる。

 今後、DNPは、安心安全な街づくりを目指して公共施設、公園、学校などの避難指定場所や商業施設、街中での人通りの多い道路、オフィス、工場、マンションなどの敷地に同サイネージの設置を提案し、情報配信や運営などの関連費用も含めて2020年までに8億円の売上高を目指す。

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