2015年に全世界で1.5億キロワットにのぼる再生可能エネルギーの発電設備が運転を開始した。前年から8.3%増えて過去最高の伸び率だ。種類別では風力・太陽光・水力の順に多く、全体の4割以上を風力が占めた。日本は過去6年間に13万件の特許を取得して世界1位の技術力を見せる。
世界140カ国以上が加盟するIRENA(国際再生可能エネルギー機関、International Renewable Energy Agency)が2015年の全世界の導入状況をまとめた。1年間に運転を開始した再生可能エネルギーの発電設備は1億5200万kW(キロワット)にのぼり、累計で19億8500万kWに達した(図1)。原子力発電所1基を100万kWで計算すると、2000基分に相当する発電設備が再生可能エネルギーで稼働できる状況だ。
累積の設備容量では水力(大規模を含む)が全体の61%で依然として多い(図2)。次いで風力が22%、太陽光が11%だが、2015年に運転を開始した発電設備のシェアでは7割以上を風力と太陽光が占めている。
風力の新規設備容量は全世界で6290万kWに達した。このうち陸上風力は5950万kWで、洋上風力は340万kWである。陸上風力では中国が3000万kWの増加で世界の過半数を占める一方、洋上風力ではドイツが230万kWも増やした。それぞれ地域の特性を生かして再生可能エネルギーを拡大している。
太陽光の新規設備容量も風力に続いて4730万kWにのぼった。地域別に見るとアジアが2830万kWで全体の6割を占める。そのうち中国が1500万kWで最も多いが、日本も1000万kWで迫る。中国と日本の2カ国で全世界の半分を超える状況だ。
風力と太陽光が大幅に伸びた最大の理由は発電コストの低下にある(図3)。IRENAが各国のデータを集計した結果、陸上風力の発電コストは2010〜2015年の6年間に15%下がった。化石燃料を使う火力発電のコストよりも低い水準になっている。洋上風力のコストも火力発電に近づきつつある。
さらに発電コストの大幅な低下が見られるのは太陽光だ。6年間で半分以下に下がり、最も安いケースでは火力発電と同等の水準になっている。このほかにバイオマスと地熱の発電コストも火力発電並みだが、大規模な設備を導入しやすい風力と太陽光に世界各国の投資が集まっている。
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