電力の地産地消を推進する「ご当地電力」が全国に広がってきた。四国では地元を舞台にした有名な小説から名づけたメニューで電力を販売する。標準の「坊っちゃんプラン」は月間使用量が200kWh以上の家庭で四国電力よりも割安になる。「マドンナプラン」や「赤シャツプラン」もある。
連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ」
愛媛県の松山市に本社を置く「坊っちゃん電力」が4月7日に小売電気事業者の登録を完了して、家庭と企業向けに電力の供給を始める(図1)。このユニークな名前の会社は2015年5月に設立したばかりで、太陽光を中心に地域で発電した電力を販売する地産地消を目指している。
坊っちゃん電力が家庭・商店向けに販売するメニューは4種類ある。すべて夏目漱石の小説「坊っちゃん」の登場人物から名前を付けた。標準メニューの「坊っちゃんプラン」は四国電力の「従量電灯A」に対抗する。
四国ではサービスブレーカーを使ってアンペア数で契約電力を決める方式をとっていない。契約電力をもとに月額固定の基本料金を決める代わりに、最低料金を設定する方式だ。そのうえで使用量に応じた電力量料金を加える。「坊っちゃんプラン」では月間使用量100kWh(キロワット時)までを最低料金の2400円でカバーする(図2)。
対する四国電力の「従量電灯A」は11kWhまでの最低料金が403.92円で、それを超えると電力量料金がかかる。「坊っちゃんプラン」と比較するために、「従量電灯A」で100kWhの場合の料金を計算すると2184円になり200円以上も安い。
「坊っちゃんプラン」が「従量電灯A」よりも安くなるのは、月間使用量が200kWh以上になってからだ。200kWhでは「坊っちゃんプラン」が月額4700円に対して、「従量電灯A」は4704円になる。
電力量料金の単価は「坊っちゃんプラン」のほうが3.5〜4.95円も安いため、使用量が増えるほど料金の差は広がっていく。標準的な家庭の使用量300kWhの場合には毎月の料金の差額が354円になり、割引率にして約5%だ。電力を多めに使う400kWhの家庭では849円に差が拡大して、割引率は8%を超える。さらにガスや通信、ケーブルテレビやホームセキュリティなどと組み合わせると料金から1%ずつ割り引く。
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