「ネット・ゼロ・エネルギー」の街が誕生、3つの電池で実現スマートシティ(1/3 ページ)

大和ハウス工業が富山県富山市の小学校跡地を活用し、一次エネルギー消費量が差し引きゼロになる「ネット・ゼロ・エネルギー・タウン」の開発に着手する。分譲住宅全戸に太陽光発電システムと蓄電池、家庭用燃料電池を設置し、HEMSも導入する。2017年後半に完成する予定だ。

» 2016年05月02日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 富山市が進めている「セーフ&環境スマートモデル街区整備事業」の内容が固まった。同事業は市内の土地を計画的に活用して、コンパクトに集約した都市機能、持続可能な省エネルギー性能と防災機能を備えるモデル街区の開発を目指す公民連携プロジェクト。民間事業者を公募型プロポーザル方式で募っていたが、審査の結果、大和ハウス工業(以下、大和ハウス)が選ばれた。

 同事業では富山市立豊田小学校の旧校舎跡地(富山市豊田本町)、8487平方メートルを活用する。この土地に大和ハウスが戸建住宅を21戸と、公民館・地区センター・図書館分館などの機能を集約した公共施設を建設する(図1)。

図1 街の完成イメージ 出典:大和ハウス工業

住宅街区はネット・ゼロ・エネルギー・タウンに

 このプロジェクトの大きな特徴の1つが、住宅街区全体の一次エネルギー消費量が差し引きゼロになる「ネット・ゼロ・エネルギー・タウン」を目指す点だ。まず21戸全ての住宅にリチウムイオン蓄電池と太陽光発電システムを組み合わせたハイブリッドシステム「POWER iE 6 HYBRID」を設置する。蓄電池の容量は6.2kWh(キロワット時)で、太陽光発電システムの出力は5.5kW(キロワット)だ(図2)。

図2 住宅街区のイメージ 出典:大和ハウス工業

 家庭用燃料電池も全戸に採用する。太陽電池、蓄電池、燃料電池の「3つ電池」を連携させることで、各戸でネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを達成するとともに、非常時でも電源を確保できる体制を整える。

 同時に全戸にHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)「SMA×ECO クラウド」も導入して、各住宅、そして街全体のエネルギー使用量を「見える化」し、省エネ意識を高める。こうして街全体でネット・ゼロ・エネルギーを達成する計画だ。

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