スマートメーターの運用管理、中国電力がネットワーク仮想化技術を導入電力供給サービス

中国電力はこのほど伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、EMCジャパンおよびVMwareと4社共同でネットワーク仮想化技術を活用したスマートメーター運用管理システムの基盤を構築した。同システム基盤の構築はCTCが、EMCジャパンのデータ記憶装置とVMwareのネットワーク仮想化ソフトウェアを最適な形で組み合わせることにより実現した。

» 2016年05月26日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 中国電力では広島県と岡山県に1カ所ずつ同じ機能を持たせた計算センターを設置・運用している。計算センターでは中国電力の全ての顧客情報などの重要なデータを収容・管理しているが、電力の小売全面自由化に合わせたスマートメーターの導入に伴い、同メーターで記録した30分毎の電気使用量など、大幅に増加する顧客データをより安全かつ確実に管理するためのシステム基盤の構築が必要となっていた。

 中国電力ではこうした課題を解決するため、CTCの運用ノウハウならびにEMCジャパンおよびVMwareの技術を活用することで物理的に離れた位置に所在し、独立で運用してきた2カ所の計算センターを仮想的にひとつのネットワークとして統合。両計算センターで新たにスマートメーター運用管理システムの基盤を構築することとした。

 具体的には中国電力の計算センターに設置されているEMCジャパンのデータ記憶装置「EMC VMAX」をCTCが「EMC VPLEX」により仮想化し、さらにVMwareのソフトウェア「VMware NSX」でネットワーク全体を仮想化することで、2カ所の計算センターを1つの仮想環境として統合したもの。EMC VPLEXは異機種混在ストレージ環境のデータセンター間で距離の壁を越えて連携する新しいデータセンターのモデルを実現する製品だ。なお、広島―岡山間、約140キロメートルの長距離間での仮想環境構築は国内最大規模となるという(図1)。

図1 構築したシステム基盤のイメージ 出典:中国電力

 今回のシステムの基盤構築により電気使用量をはじめとする重要なデータが両計算センターで常に共有されることとなる。仮に一方の計算センターにおいてシステム障害が発生した場合でも他方の計算センターのデータを活用することで業務を円滑に継続することが可能となるなど業務信頼度が格段に向上した。

 スマートメーター運用管理システムは、中国地域内のスマートメーターが記録する30分毎の電気使用量の検針データを通信機能により自動的に連携し、保管する。さらに今後のスマートメーター導入拡大に合わせて容易にデータ記憶領域を増強することが可能で、電気使用量などのデータをより安全に保存することができるという。

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