ニュース
» 2016年05月30日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:ミドリムシ燃料、油脂量40%アップの品種改良に成功 (1/2)

微細藻類が生成する油脂を活用したバイオ燃料の研究開発が進んでいる。バイオベンチャーのユーグレナは、油を多く産生する「ユーグレナ」の変異体を選抜する品種改良手法の開発に成功したと発表した。野生株より約40%油脂を多く含むユーグレナ変異体を取得することに成功したという。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 バイオベンチャーのユーグレナ、東京大学、理化学研究所の共同研究グループは2016年5月23日、細胞刺激を組み合わせることで微細藻類「ユーグレナ(ミドリムシ)」の遺伝的に多様な集団を作り出し、その中から効率的に油脂含有量の多い個体を選別する手法を開発したと発表した。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として行ったもので、ユーグレナを原料としたバイオ燃料の研究開発の促進に役立つ成果だという。

 ユーグレナはミドリムシとして知られる生物の学名で、世界中の淡水域に生息する微細藻類の一種(図1)。太陽光による培養が可能で、バイオ燃料の元となるワックスエステルという油脂成分の高い生成能力を持つ。環境への負荷を抑えてバイオ燃料の原料を生成できる生物の1つとして注目されている。現在、このユーグレナを活用した国産のバイオジェット燃料の開発計画も進んでいるところだ(関連記事)。

図1 「ユーグレナ」と(左)その中に蓄積した油脂を可視化した画像(右)出典:ユーグレナ

 微細藻類や酵母等の微生物は「変異原処理」という遺伝子変異を誘発させる処理を行うことで、野生株とは違うさまざまな特徴を持つ細胞を出現させることが可能だ。その中から「油脂が多い」「栄養価が高い」というように、有用な特徴を持つものを選抜する技術があれば、産業的な応用につながる株の取得、つまり品種改良が可能になる。

 しかし、ユーグレナは他の研究が進んでる微細藻類と比較して効率的な変異原処理、および個体選抜技術が確立されていないため、目的の特徴を持つユーグレナの取得は困難だった。

 そこで研究グループではまず、変異原処理としてユーグレナの細胞に重イオンビーム照射を実施。これにより、さまざまな特徴をもった細胞(変異体)がユーグレナの集団の中に現れる。そしてこの多様なユーグレナの集団の中から、「セルソーター」という細胞の発する蛍光強度などを指標として目的の細胞を分取する装置を活用し、ユーグレナの個々の細胞を観測する方法を開発した(図2)。

図2 開発した変異体の選抜方法のイメージ 出典:ユーグレナ
       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.