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» 2016年06月14日 07時00分 UPDATE

スマートシティ:電力と利益を地域に還元、宮城県の被災地に先端スマートシティ (1/2)

東日本大震災で被災した宮城県の東松島市で、スマートシティの本格的な運用が始まった。太陽光発電設備の導入や自営線の活用によるマイクログリッドの構築、地域新電力との連携など、日本のスマートシティの先端的なモデルケースとして大きな期待がかかるプロジェクトだ。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 東日本大震災で被災した宮城県東松島市に、同市と積水ハウスが開発を進めていた「東松島スマート防災エコタウン」(以下、防災エコタウン)で、街全体のエネルギーを最適に運用するエネルギーマネジメントシステムが稼働を開始した。エネルギーの地産地消と高い防災性能の実現、そして地域経済の活性化も担う最先端のスマートシティの本格的な運用がスタートする(図1)。

図1 「東松島スマート防災エコタウン」の外観 出典:積水ハウス

 約4ヘクタールの敷地を活用した防災エコタウン内にはスマートメーターを備えた85戸の災害公営住宅があり、既に2015年8月から入居が始まっている。敷地内には出力400kW(キロワット)の太陽光発電所が設置されている。この他に集合住宅や集会所にも太陽光パネルを設置しており、防災エコタウン全体での合計出力は約460KWだ。

 これらの太陽光発電設備で発電した電力は、再生可能エネルギーの固定買取価格制度を利用せず、全て防災エコタウン内で使用する。完全な電力の地産地消を目指す狙いだ。敷地内には容量480kWh(キロワット時)の大型蓄電池も併設しており、日中の余剰電力はこちらに充電して夜間に利用する。全ての電力を太陽光で賄うことはできないため、不足する電力は通常の系統から調達する。

自営線を引いて他施設にも電力供給

 防災エコタウンの特徴が太陽光発電設備で発電した電力や、一括受電した電力を周辺施設にも提供する点だ。災害公営住宅の近くにある4つの病院と公共施設にも電力供給を行っていく。これらの電力供給は東松島市が整備した自営線を使用している点も大きな特徴である(図2)。

図2 「東松島スマート防災エコタウン」の概要(クリックで拡大)出典:積水ハウス

 このように太陽光発電設備や蓄電池、災害公営住宅と周辺施設などで構築されるマイクログリッドは、全てCEMS(Community Energy Management System)でエネルギー需給を最適に制御していく。CEMSは環境省の補助を受けて導入した。こうした再生可能エネルギーの活用やCEMSによるエネルギー管理によって、年間256トンのCO2排出量の削減効果が見込めるという。

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