太陽光に偏重する再生可能エネルギーの制度改革が進む一方で、今後も有望な電力源になる太陽光発電を長期的に拡大する対策が始まる。国際的に見て割高な発電コストの低減に取り組みながら、発電設備を安定して稼働させるためのガイドラインやサポート体制の整備を全国規模で推進していく。
政府は2017年度から固定価格買取制度(FIT:Feed-In Tariff)の抜本的な改革を実施するのと並行して、買取制度を廃止した後でも再生可能エネルギーの導入量を拡大できる施策を展開する。特に導入量の多い太陽光発電に対しては3つの分野で拡大策を実施する方針だ(図1)。
第1に発電コストが世界の主要国と比べて高い水準にとどまっている状況を改善していく。現在のところ日本の太陽光発電のコストは欧米の先進国と比べて2倍前後で、それに伴って発電した電力の買取価格も高く設定せざるを得ない(図2)。発電コストを大幅に低減できなければ、太陽光発電の導入量を長期的に増やしていくことはむずかしい。
日本の太陽光発電のコストが割高になっている大きな要因の1つは、発電システムの導入費用が先進国ほど低下していない点にある。ドイツやイタリアと比べて2倍以上の導入費用がかかるため、買取価格も2倍以上の状態が続いている(図3)。
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