厚さ0.001mm、鉛筆に巻き付くほど薄くて曲がる太陽電池を開発太陽光

鉛筆に巻き付けられるほど薄くて曲げられる太陽電池を韓国の光州科学技術院の研究者が開発した。将来的には充電フリーのウェアラブル端末やスマートグラスなどへの活用が期待されている。

» 2016年06月23日 10時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 韓国の光州科学技術院の研究者が、人間の髪の毛よりも薄い1マイクロメートルの厚さの太陽電池を開発したと発表した(図1)。

photo 図1 新開発の薄くて曲がる太陽電池(クリックで拡大)出典:Juho Kim, et al/ APL

 研究者たちは、新しい薄型太陽電池をヒ化ガリウム半導体で生成。接着剤を使用して貼り付けるのではなく、フレキシブル基板上に直接印刷することでセルを形成。170度の温度で圧力をかけることで一時的にフォトレジストの表面の層を溶かして一時的な接着剤とし、そこに電極を接着する。研究者たちのテストによると、この薄型の太陽電池は、従来の分厚い太陽電池と同等の発電効率を示すことができたという。さらに、曲げ具合としては、1.4ミリメートルの半径の円形のものを包み込むことができるという。

 いくつかの他の研究グループも、薄型の太陽電池については研究を進めており、約1マイクロメートルの太陽電池の開発を報告している例もあるが、これらは一般的に行われるエッチング(化学腐食、蝕刻加工)方式を採用しており、今回光州科学技術院が開発した印刷方式とは異なるとしている。エッチング方式に対して転写方式はより少ない材料で柔軟な太陽電池を製造でき、高コストパフォーマンスが期待できるとしている。

 例えば、この薄型太陽電池の製品化が進み、メガネフレームなどにセルを形成することができれば、大きな電池が不要なスマートグラスの開発などが可能になるという。

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