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» 2016年07月07日 15時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:水素社会の実現シナリオを再考、水素専焼タービンの実用化を急ぐ (1/2)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2030年以降の水素社会実現に向け、新たに水素専焼タービン燃焼器の先導的な2つの研究開発テーマに着手する。また、水素社会実現までのシナリオ作成のための調査研究体制を刷新し、より精緻化された技術開発シナリオ・戦略の策定を目指す。

[長町基,スマートジャパン]

 2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、水素を日常の生活や産業活動で利活用する社会である“水素社会”の実現に向けた取り組みを加速することが定められている。NEDOは「水素利用等先導研究開発事業」で、2030年以降の長期的視点をにらみ、将来の水素エネルギー利活用の本格化を見据え、再生可能エネルギーを利用した水素製造およびエネルギーキャリアを用いた水素の貯蔵・輸送における要素技術の研究開発を実施している。加えて今回、将来の水素需要の創出に向けて水素発電の本格導入が検討されている中、2030年以降の実用化を目指し、発電効率を下げずに低NOxを達成するドライ型水素専焼ガスタービン燃焼器の要素技術開発2テーマを新たに追加した。

 また、この事業では開発する技術の速やかな実用化・普及と技術課題の明確化、将来の技術課題・シーズの発掘を目指し、普及シナリオを作成しているが、水素社会実現までのシナリオ調査研究について、研究体制を刷新し、水素エネルギーに関する技術進展の将来予測について分析・評価などを行い、シナリオへの反映、精緻化を図る。

 採択テーマと概要、委託予定先は以下の通り。事業期間は全て2016〜2017年度を予定する。

 三菱日立パワーシステムズと三菱重工業に委託する「水素専焼対応型Dry Low NOx高温ガスタービンの研究開発」では、数百MW級の発電事業者向け大型ガスタービンに適用可能な水素専焼ドライ低NOx燃焼器の開発に向けて、クラスタバーナの大型高温化および燃焼器特性の評価などの技術開発を行う。燃焼器の構造成立性の検討、縮小モデルバーナの解析検討および設計・製作を行い、火炎形状の適正化、安定燃焼の実現、低NOxの実現を目指す。事業期間は2016〜2017年度を予定する。

 川崎重工業に委託する「水素ガスタービン燃焼技術の研究開発」では、数MW級の自家用発電向け水素ガスタービン発電で、キーコンポーネントとなる水素専焼ドライ低NOx燃焼器の研究開発を実施する。数値流体力学(CFD)解析を用いた流動、燃焼ガス分布の予測により、燃焼器形状の検討を行う。設計・試作した燃焼器は高圧水素燃焼試験を行い、低NOxで安定燃焼の達成を目指す(図1)。

図1 数MW級水素専焼ガスタービン燃焼器のイメージ 出典:NEDO
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