薄膜の水分の吸着量は熱や光にも影響を受けるため、環境におけるさまざまな揺らぎを薄膜の運動エネルギーに変換することが可能である。また、この薄膜は環境の変化に高速で応答することが可能なため、薄膜に強い光を照射すると薄膜が高速で屈伸し、ジャンプする(図3)(図4)。
この薄膜は、グラフィティック・カーボンナイトライドと呼ばれる2次元状高分子を用いることで実現した。研究グループが独自に開発した手法により、原料として安価なグアニジン炭酸塩を用い、加熱するだけという非常にシンプルな手法で作製することが可能であるという(図5)。
研究グループは、今回の成果により、これまでエネルギーとして利用することが困難であった“環境の揺らぎ”を、運動エネルギーとして利用できることを実証した。今後、実際のデバイスなどで利用するためには、薄膜の運動エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換する技術を実現する必要がある。さらに人工筋肉などの分野への応用も期待されている。
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