目視で見つけるトラブルの火種太陽光発電所のトラブル対策(1)(1/4 ページ)

今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第1回は目視検査のポイントを解説する。

» 2016年08月26日 07時00分 公開

 アドラーソーラーワークス(以下、ASW)では太陽光発電所の定期点検などを手掛けているが、実際に持ち込まれることが多いのは「トラブルが起きてから」の精密点検や不具合点検などの要望である。再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)が始まり、まだ4年しかたっていないが、多くの太陽光発電所でさまざまなトラブルが発生しているようだ。

 現在太陽光発電所において発生しているさまざまな不具合の最大の原因は、設計や施工品質に起因するものがほとんどである。これは、発電所の竣工において、不動産物件などに見られるような、国の標準に対する第三者による検査および評価が法令化されていないことによるものが大きいと考察している。

 ASWでは、IEC62446基準およびヨーロッパにて10年以上前から検証されてきたメニューとして、竣工検査で以下の項目を実施している。

審査

  • 契約図面
  • 設計図書、計算書
  • 主要コンポーネントの仕様確認

検査

  • PVアレイの電気的試験、機能試験(IV、サーモグラフィ)
  • PCSの電気的試験、機能試験(IEC62446基準)
  • 地絡、感電などに対する電気的安全性能検査(接地抵抗、絶縁抵抗検査)
  • 施工の出来形検査

 本検査を実施した発電所としていない発電所では、その後の運用保守(O&M)中の不具合の発生率に明らかに大きな違いがある。発電所をオーナーのものというだけでなく、再生可能エネルギー電源として日本の資産になると捉えると、系統連系前後の竣工検査は重要と考える。

 本連載では、ASWが実際に遭遇した事例を交えながら、こうした太陽光発電所トラブルを未然に防ぐためのO&Mのポイントについて解説していく。第1回目となる今回は、目視検査の要点について解説する。

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