連載
» 2016年08月31日 11時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(66):ネガワット取引のシステムが間に合わず、直接協議方式で2017年4月に開始 (1/2)

節電した電力を売買できる「ネガワット取引」が2017年4月に始まる。取引のスキームは3種類あるが、当初は需要家と事業者が節電量などを直接協議して決めるスキームから開始する予定だ。ネガワット取引に必要な広域機関のシステム改修が間に合わないため、当初は暫定的な運用方法になる。

[石田雅也,スマートジャパン]

第65回:「ガス小売事業者の登録申請が始まる、関西電力が早くも名乗り」

 電力システム改革の大きな目的の1つは、従来の硬直的な需給体制から脱却して、電力を無駄なく効率的に利用できる仕組みを作ることにある。それを象徴する取り組みが「ネガワット取引」の導入だ。需要家が節電した電力を事業者が買い取って、その電力を他の需要家に供給して活用する(図1)。

図1 ネガワット取引の仕組み。出典:資源エネルギー庁

 ネガワット取引が全国各地に広がれば、夏や冬に電力の需要が増加した時でも、小売電気事業者はネガワット取引を通じて必要な供給量を調達しやすくなる。政府は2017年4月にネガワット取引を開始するために、実施ルールや運用システムの整備を進めているところだ。

 現時点ではネガワット取引を実施するスキームとして3通りを想定している(図2)。このうち2017年4月から適用できるのは「直接協議スキーム」である。需要家と小売電気事業者、さらに仲介役のネガワット事業者が取引の条件を協議して合意する方式で、3種類のスキームの中では運用が最も簡単になる。

図2 ネガワット取引のスキーム(上)、メリットとデメリット(下)。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 ほかには需要家と小売電気事業者が事前に節電量を決める「確定数量契約スキーム」や、一定のルールをもとに送配電事業者などが取引を仲介する「第三者仲介スキーム」がある。この2つのスキームは直接協議の場合と比べて取引を効率よく進められるメリットがあり、ネガワット取引の拡大には欠かせない。ただしルールやシステムの整備に時間がかかる。

 政府は運用方法が簡単な直接協議スキームを2017年4月1日に開始した後に、残る2つのスキームを2017年内に実施することを目指している(図3)。ここで問題になってくるのが、国全体の電力の需給調整を担う電力広域的運営推進機関(広域機関)のシステムである。

図3 3種類のスキームの対応時期。OCCTO:電力広域的運営推進機関。出典:電力・ガス取引監視等委員会
       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.