人工衛星が観測したCO2排出量の増加、中国が突出、東京でも確認法制度・規制(1/2 ページ)

日本のJAXAなどが運用する温室効果ガス観測衛星「いぶき」の新たな解析結果がまとまった。大気中の観測データをもとに、火力発電などによる人為的なCO2の濃度を地域ごとに推定した。CO2濃度が最も高かったのは中国の北東部、次が米国のロサンゼルスで、東京でもCO2濃度の上昇を確認した。

» 2016年09月05日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 地球全体の温室効果ガスの濃度を高精度に推定するため、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、NIES(国立環境研究所)、環境省が共同で2009年から温室効果ガス観測衛星の「いぶき」を使って観測を続けている。2014年までの5年半に及ぶ観測データをもとに、世界の各地域で人為的に排出したCO2(二酸化炭素)の濃度を推定した

 「いぶき」は地球から高度666キロメートルの軌道を3日間で1周する人工衛星で、CO2とメタン(CH4)の濃度を観測するセンサーを備えている(図1)。地表面から大気の上端までの「全大気」におけるCO2の総量を観測できる点が特徴で、地球温暖化のリスクを算出・予測できる世界で初めての専用衛星である。

図1 温室効果ガス観測衛星「いぶき」の外観と構成機器。出典:JAXA

 9月1日に発表した最新の推定結果によると、世界の中でも一部の地域で「人為起源」よるCO2濃度が高くなっている。人為起源のCO2は火力発電や油田・ガス田の開発が活発な地域のほか、化石燃料の消費量が多い大都市でも大量に排出する。特に近年の産業活動が盛んな中国をはじめ、インド、中東、北米、欧州でも人為起源のCO2濃度が高いことを「いぶき」の観測データから確認できた(図2)。

図2 高濃度の人為起源CO2を観測した地域(上)と拡大図(下)。2009年6月〜2014年12月の平均濃度を色で示した。ppm:大気中に含まれる気体の体積の比率(100万分の1の場合に1ppm)。出典:JAXA、NIES、環境省
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