国内最大級の木質バイオマス発電所、北海道で2020年に運転開始へ自然エネルギー(1/2 ページ)

北海道の南部に広がる室蘭市の臨海工業地帯に木質バイオマス発電所を建設する計画が決まった。東燃ゼネラル石油の遊休地で2017年に着工、2020年の春に運転を開始する予定だ。発電能力は75MWに達して、木質バイオマス発電所では国内で最大の規模になる。

» 2016年09月29日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東燃ゼネラル石油がエンジニアリング会社の日揮と共同で、室蘭市の臨海工業地帯に木質バイオマス発電所を建設する。「室蘭港」の北側に東燃ゼネラル石油が所有する4万平方メートルの遊休地で、以前はガソリンなどの石油製品を貯蔵する油槽所があった跡地だ(図1)。

図1 「室蘭港」の全景。中央上の沿岸にバイオマス発電所を建設。出典:国土交通省

 発電能力は75MW(メガワット)を想定している。木質バイオマス発電所では昭和シェル石油グループが神奈川県で運転中の「京浜バイオマス発電所」(発電能力49MW)を大きく上回って国内で最大級になる。同規模の木質バイオマス発電所は太平洋セメントと新電力のイーレックスが岩手県に建設する計画を進めていて、大規模な木質バイオマス発電所が全国各地に広がっていく。

 燃料の木質バイオマスには東南アジアから輸入するパームヤシ殻(PKS:Palm Kernel Shell)を利用する。PKSはパームヤシの実から油をしぼった後に残る殻で、安価な木質バイオマス発電の燃料として使われる。発電した電力は固定価格買取制度の対象になって20年間の買取が保証されている(図2)。

図2 固定価格買取制度の対象になるバイオマス発電の種類と買取価格。出典:資源エネルギー庁

 室蘭市に建設する発電所の年間稼働日数は明らかになっていないが、1日24時間の連続運転で年間に300日稼働させると、発電量は5.4億kWh(キロワット時)になる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して15万世帯分に相当する。固定価格買取制度で売電すれば年間の売電収入は100億円を超えて、石油主体の事業構造から転換を進める東燃ゼネラル石油の新たな収益源になる。

 室蘭市に日揮と共同出資で「室蘭バイオマス発電」(東燃ゼネラル石油90%、日揮10%)を設立して建設プロジェクトを進めていく。2017年内に着工して、2020年の春に運転を開始する予定だ。発電所の建設と長期にわたる事業運営を通じて地域の活性化にも貢献していく。

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