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» 2016年10月04日 11時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(71):地域を越えて電力を取引しやすく、連系線の運用ルールを改正へ (1/2)

日本では地域ごとに送配電ネットワークが分かれていて、地域間でやりとりできる電力の容量に制限がある。地域間をつなぐ連系線の容量を割り当てるルールは新規参入の事業者には不利な形になっている。各事業者が公平に連系線を利用できるように、有料のオークション方式に変更する方向だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

第70回:「電力システム改革を貫徹する新たな施策、2020年に向けて実施へ」

 政府の委員会が電力システム改革の貫徹を目指して検討に着手した重点施策は6項目ある(図1)。その中でも早急に実施すべきは「連系線利用ルールの見直し」である。発電事業者と小売電気事業者が地域を越えて電力を取引しやすくするために、現行のルールを改正することが急務になっている。

図1 電力システム改革の貫徹に向けた検討事項。出典:資源エネルギー庁

 国内の電力市場は沖縄を除いて、9つの地域の送配電ネットワークを「連系線」で結んでいる(図2)。ところが地域間の連系線は容量が限られていて、容量がいっぱいになった場合には追加の電力を地域間でやりとりできない。ある地域で足りない電力を別の地域で余った電力で補うことがむずかしくなってしまう。連系線を効率的に利用できる仕組みを整備することは電力の安定供給に欠かせない。

図2 地域間の連系線と運用容量(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 実際に連系線の容量が足りずに、卸市場で取引する電力を地域間で供給できないケースがある。特に北海道と東北を結ぶ「北海道本州間連系線」と、東京と中部を結ぶ「東京中部間連系線」の2カ所で頻発している。2016年4〜8月の実績を見ると、卸市場で1日前に取引可能な電力のうち60%以上が地域を越えて供給できない状況だ(図3)。

図3 連系線によって地域間の市場が分断される状況(2016年4〜8月、画像をクリックすると拡大)。FC:周波数変換設備。出典:資源エネルギー庁

 これでは発電事業者と小売電気事業者が卸市場を通じて機動的に電力を取引することができず、電力システム改革を推進するうえで重要な卸市場の活性化を阻害してしまう。特に東京中部間は電力の周波数が50Hz(ヘルツ)と60Hzで異なる問題がある。地域間で周波数を変換して電力を供給する必要があるために、連系線の容量が小さくてボトルネックになっている。

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