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» 2016年11月28日 09時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:電力と温水を同時に作る太陽電池、遠赤外線でエネルギー効率78% (1/2)

太陽光発電の大量導入に向けた技術開発の一環で、電力と温水を同時に作ることができる太陽電池の実証試験が始まった。静岡県・掛川市の温泉施設に140枚の太陽電池モジュールを設置して、性能や信頼性を評価する。開発したメーカーの実測では発電効率が15.5%、集熱効率が62.5%に達した。

[石田雅也,スマートジャパン]

 電力と温水の両方を作るハイブリッド太陽電池モジュールの実証試験システムが、掛川市の「大東温泉シートピア」の敷地内で11月24日に稼働した(図1)。ハイブリッド太陽電池モジュールは日清紡グループの日清紡メカトロニクスがNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「太陽光発電多用途化実証プロジェクト」の採択を受けて、2014年度から開発を進めてきたものだ。

図1 「大東温泉シートピア」の外観。出典:掛川市

 この太陽電池モジュールには単結晶シリコンを使った発電部の裏面に、温水を作る特殊加工のポリエチレン管を配置してある。外部から水道水や温泉水を送り込んで、太陽光の熱エネルギーで温度を上昇させることができる。太陽電池モジュール1枚の発電能力は160ワットで、合計140枚のモジュールを設置した(図2)。

図2 ハイブリッド太陽電池モジュールの実証試験システム。出典:NEDO

 140枚のうち112枚には水道水を通して、昇温した温水を施設内にある温水利用設備に供給する。残る28枚のモジュールには温かい温泉水を送り込んで、40℃以上に昇温して足湯施設に供給する仕組みになっている。

 日清紡メカトロニクスは2017年2月まで大東温泉シートピアで実証試験を続けて、発電効率や集熱効率、システムの信頼性を検証する。事前に実環境下で測定した結果では、モジュールの表面温度が50℃の状態で発電効率が15.5%、集熱効率が62.5%を記録した。それぞれ太陽光のエネルギーを電力と熱に変換できる割合で、両方を合わせたエネルギー変換効率は78%の高い水準になる。

 市販の単結晶シリコン太陽電池モジュールの変換効率は15%前後であることから、開発したハイブリッド太陽電池モジュールは50℃の高温でも同等の性能を発揮する。さらに太陽熱を利用した温水器の集熱効率は40〜50%が標準的で、それよりも高い効率で温水を作ることができる。日清紡メカトロニクスは約3カ月の実証試験の結果をもとに、製造コストを低減して早期の実用化を目指す。

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