広島県では太陽光・小水力・バイオマスを利用した発電設備が拡大中だ。遊園地の跡地やゴルフ場の隣接地でメガソーラーが運転を開始した。山間部にある2つの川をつなぐ水路では小水力発電所が稼働した。世界で最先端の石炭ガス化発電所やバイオマス混焼発電所の建設も進んでいる。
広島県の北部にある安芸高田市(あきたかたし)では、2008年までテーマパークの「広島ニュージーランド村」が営業を続けていた(図1)。自然が豊かな環境の中でヒツジやヤギと触れ合えることを売り物に、1990年に開園した当初は人気を呼んだものの、その後は入園者が減少して閉鎖に追い込まれてしまった。
広さが100万平方メートルに及ぶ広大な跡地を利用して、「ウエストニュージーランド村ソーラーパーク」が2016年3月に運転を開始した(図2)。テーマパークの地形を生かして太陽光パネルを設置する一方、建物は保存して地域の住民に開放する予定だ。
太陽光パネルの設置数は3万8000枚にのぼり、発電能力は9.6MW(メガワット)に達する。年間の発電量は1030万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると2900世帯分に相当する電力になる。発電した電力は固定価格買取制度で中国電力に売電して、年間に4億円強の収入を得られる計画だ。
このメガソーラーから40キロメートルほど南に下ると、瀬戸内海に面してゴルフコースを備えたリゾート施設がある。ゴルフコースに隣接する3万平方メートルの敷地には、発電能力2MWのメガソーラーが2016年5月に運転を開始した(図3)。
雨が少なくて日射量が豊富な瀬戸内式気候の特徴を生かして、年間の発電量は290万kWhを想定している。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は16%を超える水準になり、国内の太陽光発電の標準値13%を大幅に上回る。一般家庭で800世帯分の電力を供給できる。
同様に瀬戸内海の沿岸部にある工業地帯の一角では、中国電力グループのエネルギア・ソリューション・アンド・サービスが「ESS福山太陽光発電所」を2016年4月に稼働させた(図4)。発電能力は7.2MWで、年間の発電量は980万kWhになる。このメガソーラーの設備利用率も15.5%と高い。隣接地には中国電力の「福山太陽光発電所」(3MW)が2011年から運転を続けている。
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