太陽光発電の買取価格は事業用を21円に、風力発電は3年後に19円へ自然エネルギー(3/4 ページ)

» 2016年12月14日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

中小水力発電は規模によって3円の増減

 風力・中小水力・地熱・バイオマス発電の買取価格は2017〜2019年度の3年分を一括で決定した。風力発電では出力20kW以上の陸上風力の買取価格を毎年度1円ずつ引き下げていく(図6)。長期の価格目標として2030年までに発電コストを8〜9円まで低減させる。その途上で2019年度の買取価格は19円まで下がる。

図6 風力発電の買取価格(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 風力発電に対しては既設の設備をリプレース(更新)した場合の買取価格も新たに設定した。送配電ネットワークに接続するための工事費が不要になることから、その分を差し引いて新規の設備よりも買取価格は3円安くなる。リプレースによって発電量が増加した場合でも一律の買取価格を適用する。

 買取価格の算定根拠になる指標を見ると、風力発電では設備の導入に必要な資本費は横ばいの状態で、運転維持費は1.5〜2倍に上昇している(図7)。ただし設備利用率が想定の20%から実績では24.8%に向上して、年間の発電量が2割以上も増える見込みだ。これらの要件を総合して買取価格の引き下げが妥当と判断した。出力が20kW未満の風力発電と20kW以上の洋上風力は現行の買取価格を据え置く。

図7 陸上風力発電(出力20kW以上)の買取価格の算定根拠(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 中小水力発電は全国各地で開発プロジェクトが増加している。出力1000kW未満の買取価格を2019年度まで据え置いて導入を加速させる。一方で出力の大きい1000kW以上3万kW未満は2段階に分けて買取価格を変更する(図8)。出力が5000kWを境にして資本費に大きな開きが生じているためだ。

図8 中小水力発電の買取価格(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 出力1000kW以上5000kW未満の発電設備は現行の買取価格に3円プラスして27円に引き上げ、5000kW以上を3円マイナスの20円に引き下げる。それぞれ資本費が従来の想定から変動していることが理由だ(図9)。全国には出力が1000kWを少し上回る程度の導入候補地が数多くあり、買取価格の上昇によって開発プロジェクトの拡大が期待できる。

図9 中小水力発電(出力1000kW以上)の買取価格の算定根拠(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

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