再生可能エネルギー導入量の第1位は茨城県、関東と中部が上位に自然エネルギー(1/2 ページ)

全国各地に再生可能エネルギーの発電設備が拡大する中で、固定価格買取制度による導入量が最も多いのは茨城県だ。太陽光を中心に風力・中小水力・バイオマスの発電設備が続々と運転を開始した。トップ10には関東と中部から3県ずつ入り、電力の需要が大きい地域で導入が進んでいる。

» 2016年12月26日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 固定価格買取制度による再生可能エネルギー発電設備の導入量は、すでに全国を合わせて3000万kW(キロワット)を超えている。都道府県別の導入量を見ると、最も多いのは茨城県で184万kWに達した(図1)。発電能力は大型の原子力発電所2基分に相当する規模だ。茨城県では直近の1年間で59万kWも増えている。

図1 再生可能エネルギー発電設備の導入量が多い都道府県トップ10(2016年8月末時点、バイオマス発電は燃料の比率を考慮)。単位:キロワット。資源エネルギー庁のデータをもとに作成。

 第2位は同じ関東の千葉県で153万kW、第3位には中部の愛知県が148万kWで続く。関東では栃木県が6位に、中部からは静岡県と三重県が8位と9位に入り、関東と中部でトップ10のうち6県を占めている。各県とも太陽光発電が多いが、風力・中小水力・バイオマス発電の導入量も伸びてきた。

 導入量がトップの茨城県では、森林が広がる北部の常陸太田市(ひたちおおたし)で大規模な木質バイオマス発電所が稼働中だ。日立造船が2015年11月に運転を開始した「宮の郷木質バイオマス発電所」である(図2)。地域の間伐材を燃料に使って5750kWの電力を供給できる。

図2 「宮の郷木質バイオマス発電所」の全景。出典:日立造船

 風力では太平洋沿岸の神栖市(かみすし)で2015年8月に「鹿島港深芝風力発電所」が運転を開始した。5000kWの発電能力がある大型風車1基で構成する(図3)。国内で初めて5000kWの大型機が商用運転を開始した。神栖市には年間を通して太平洋から強い風が吹きつけるため、風力発電所が数多く集まっている。

図3 「鹿島港深芝風力発電所」の全景。出典:日立製作所

 さらに運転開始前の状態にある発電設備を加えた認定量でも、茨城県のトップは変わらない(図4)。合計で548万kWにのぼる発電設備が認定を受けている。続いて第2位には復興に向けて再生可能エネルギーの導入プロジェクトが活発な福島県が入った。認定量は456万kWに拡大している。

図4 再生可能エネルギー発電設備の認定量が多い都道府県トップ10(2016年8月末時点、バイオマス発電は燃料の比率を考慮)。単位:キロワット。資源エネルギー庁のデータをもとに作成。

 福島県内で認定を受けた発電設備の中では、太平洋沿岸に広がる相馬市(そうまし)で計画中のメガソーラーの規模が大きい。津波による塩害で農作物の栽培が困難になった70万平方メートルの農地に建設する計画だ。約20万枚の太陽光パネルを設置して、発電能力は5万2000kWになる(図5)。2017年6月に運転を開始する。

図5 「レナトス相馬ソーラーパーク」の完成イメージ。出典:九電工ほか
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