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» 2017年01月26日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:風力発電が2016年度に30万kW増加、過去7年間で最大の伸び (1/2)

震災後に伸び悩んでいた風力発電の導入量が再び拡大し始めた。2016年度の新規導入量は30万kWに達して、前年度から倍増する勢いだ。秋田県や島根県で大規模な風力発電所が運転を開始したほか、福島県の沖合では浮体式による3基目の洋上風力発電設備が実証運転に入る。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本風力発電協会が1月24日に公表した速報値によると、国内の風力発電の導入量は2016年度末に累計で3378MW(メガワット)に拡大する見通しだ(図1)。キロワット(kW)では337.8万kWになり、大型の原子力で3基分に匹敵する。単年度の導入量は300MWに達して、過去10年間でも2009年度の304MWに次いで2番目に多い。

図1 風力発電の導入量(2016年度は推定)。出典:日本風力発電協会

 国内の風力発電は2011年3月に発生した東日本大震災の影響に加えて、2012年10月から大型の風力発電所(出力7.5MW以上)が環境影響評価の対象に入ったことで、開発プロジェクトが停滞していた。ようやく2014年度から導入量が増加に転じ、2016年度には震災前の水準に戻る。

 累積の導入量を都道府県別に見ると、トップは引き続き青森県だが2016年度に運転を開始する風力発電所はない(図2)。第2位の秋田県が前年度から60MW以上も増やして北海道を一気に抜いた。それでも第3位の北海道の導入量は30MW以上も増えている。上位の3地域は沿岸部を中心に風況に恵まれた場所が多く、今後も導入量は拡大していく。

図2 都道府県別の累積導入量(2017年3月末、画像をクリックすると拡大)。出典:日本風力発電協会

 秋田県では「風の松原風力発電所」が2016年12月に運転を開始して、導入量を大きく伸ばした。日本海に面した能代市の海岸線に広がる防風林の中で、17基の大型風車が稼働中だ(図3)。発電能力は合計で39MWにのぼる。

図3 「風の松原風力発電所」の風車(画像をクリックすると拡大)。出典:スマートエナジー

 年間の発電量は1億kWh(キロワット時)を超える想定だ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して2万8500世帯分の電力量になり、能代市の総世帯数(2万4500世帯)を上回る。日本海沿岸の風況の良さを生かして、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は洋上風力に匹敵する30%を見込んでいる。

 全国各地で新たに稼働した風力発電所の中では、島根県の「ウインドファーム浜田」の規模が大きい。浜田市内に連なる山の尾根に29基の風車を設置して2016年6月に運転を開始した(図4)。発電能力は48MWに達して、年間に8500万kWhの電力を供給できる見込みだ。設備利用率は20%の想定だが、この水準を上回る可能性が大きい。

図4 「ウインドファーム浜田」の全景。出典:SBエナジー、三井物産

 福島県の沖合では、浮体式による3基目の大型風車が2016年11月から試運転に入っている。発電能力が5MWの「ふくしま浜風」で、2017年3月までに実証運転へ移行する予定だ(図5)。すでに運転中の2基と合わせて14MWの洋上風力発電設備から、海底ケーブルを通じて陸上まで20キロメートルの距離を送電する。

図5 試運転中の「ふくしま浜風」。出典:福島洋上風力コンソーシアム
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