世界需要の36%、再生可能エネで実現か自然エネルギー(3/4 ページ)

» 2017年01月26日 14時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

発電用途が着実に伸びる

 以下では電力として利用される再生可能エネルギーについて、IRENAの結論を紹介する。

 再生可能エネルギーを用いた発電所は急速に増え続けている。2015年の成長率は9.3%と過去最大。発電容量は154GWに達した。

 このような成長は、新規に建設される発電所の容量からも分かる。2001年から2015年までに新設された発電所の容量を見ると、化石燃料や原子力(灰色)は横ばいの傾向にある。逆に再生可能エネルギー(青色)は着実に成長している(図2)。

図2 新規建設された発電所の規模と種類(クリックで拡大) 化石燃料や原子力は横ばいだが、再生可能エネルギーは着実に成長している 出典:IRENA

 現在最も規模が大きな再生可能エネルギー源は水力だ(図3)。水力は規模が大きいものの適地が少なくなってきており、成長率が低い。成長率が著しく、規模も大きいのが風力発電。さらに成長率が高いのが太陽光だ。

図3 世界の発電量と方式ごとの比率(2015年)(クリックで拡大) 出典:IRENA

コストダウンが発電利用を助ける

 歴史があり、安定した出力を得やすい化石燃料ではなく、再生可能エネルギーを利用する理由は何だろうか。

 発電コストだ。再生可能エネルギーはバイオマスを除くと燃料を必要としない。その一方で初期コストが高いのではないかという疑問がわく(囲み記事2を参照)。

 この疑問に答えるのが、均等化発電原価(LCoE:Levelized Cost of Electricity)という考え方。厳めしい名前だが、考え方は単純だ。発電所の設計・開発・建設・運用・廃止までに必要となる全コストを、発電所が運用期間中に生み出す電力量で割った数字だ。

 IRENAは再生可能エネルギーを用いた発電所のLCoEの値が、化石燃料と十分競争できる水準にあることを示した(図4)。

図4 再生可能エネルギーと化石燃料の発電コスト比較 発電所規模の設備について2010年と2016年を比較した。黒い帯は化石燃料を用いた火力発電の発電コスト(クリックで拡大) 出典:IRENA

 図4には2010年と2016年のLCoEの値が技術ごとに描かれている。白い記号は重み付け平均値。黒い帯で表した化石燃料と比較すると、太陽熱発電(Solar Thermal)以外は2010年時点でも競争力があった。

 2016年までに発電コストを大きく引き下げたのは太陽光と陸上風力だ。バイオマスと地熱、洋上風力は横ばいかわずかに発電コストが上がっている。

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