以下では電力として利用される再生可能エネルギーについて、IRENAの結論を紹介する。
再生可能エネルギーを用いた発電所は急速に増え続けている。2015年の成長率は9.3%と過去最大。発電容量は154GWに達した。
このような成長は、新規に建設される発電所の容量からも分かる。2001年から2015年までに新設された発電所の容量を見ると、化石燃料や原子力(灰色)は横ばいの傾向にある。逆に再生可能エネルギー(青色)は着実に成長している(図2)。
現在最も規模が大きな再生可能エネルギー源は水力だ(図3)。水力は規模が大きいものの適地が少なくなってきており、成長率が低い。成長率が著しく、規模も大きいのが風力発電。さらに成長率が高いのが太陽光だ。
歴史があり、安定した出力を得やすい化石燃料ではなく、再生可能エネルギーを利用する理由は何だろうか。
発電コストだ。再生可能エネルギーはバイオマスを除くと燃料を必要としない。その一方で初期コストが高いのではないかという疑問がわく(囲み記事2を参照)。
この疑問に答えるのが、均等化発電原価(LCoE:Levelized Cost of Electricity)という考え方。厳めしい名前だが、考え方は単純だ。発電所の設計・開発・建設・運用・廃止までに必要となる全コストを、発電所が運用期間中に生み出す電力量で割った数字だ。
IRENAは再生可能エネルギーを用いた発電所のLCoEの値が、化石燃料と十分競争できる水準にあることを示した(図4)。
図4には2010年と2016年のLCoEの値が技術ごとに描かれている。白い記号は重み付け平均値。黒い帯で表した化石燃料と比較すると、太陽熱発電(Solar Thermal)以外は2010年時点でも競争力があった。
2016年までに発電コストを大きく引き下げたのは太陽光と陸上風力だ。バイオマスと地熱、洋上風力は横ばいかわずかに発電コストが上がっている。
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