国内最大80MWの風力発電所が完成、40基の風車で4万4000世帯分:自然エネルギー(2/2 ページ)
日本国内では2012年10月から規模の大きい風力発電所(発電能力7.5MW以上)を建設する場合には、事前に環境影響評価のプロセスを実施することが法律で義務づけられた。手続きの開始から完了までに3年程度かかるため、ようやく最近になって全国各地で風力発電所の運転が続々と始まっている。
図5 「由利本荘海岸風力発電所」の所在地。出典:Jパワー
日本海に面した秋田県南部の由利本庄市では、Jパワーが1月31日に「由利本荘海岸風力発電所」の運転を開始した(図5)。海岸線に沿って設置した7基の大型風車で16MWの発電能力がある(図6)。年間の発電量を標準的な設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)の25%で計算すると約3500万kWhになる。一般家庭の1万世帯分に近い電力を供給できる見通しだ。
図6 「由利本荘海岸風力発電所」の全景。出典:Jパワー
Jパワーは全国各地に風力発電所を展開中で、由利本荘市の風力発電所で22カ所に拡大した(図7)。東日本大震災の前に18カ所、震災後に4カ所が稼働した。22カ所の発電能力を合計すると445MWに達する(図7)。現在も北海道せたな町で23番目の風力発電所を50MWの規模で建設中だ。
図7 Jパワーが運営する国内の風力発電所。出典:Jパワー
同じ1月31日に福井県北部の坂井市では、北陸電力グループの日本海発電が「三国風力発電所」の運転を開始している。日本海に面した福井港の臨海工業地帯の一角に、発電能力が2MWの大型風車4基を設置した(図8)。合計8MWで年間の発電量は1440万kWhを見込んでいる。4000世帯分の電力を供給できる。
図8 「三国風力発電所」の所在地と全景。出典:日本海発電
- 風力発電が2016年度に30万kW増加、過去7年間で最大の伸び
震災後に伸び悩んでいた風力発電の導入量が再び拡大し始めた。2016年度の新規導入量は30万kWに達して、前年度から倍増する勢いだ。秋田県や島根県で大規模な風力発電所が運転を開始したほか、福島県の沖合では浮体式による3基目の洋上風力発電設備が実証運転に入る。
- 大型風車65基を高原に新設、街には太陽光とバイオマス
風力発電が活発な三重県の高原地帯で新しい発電所の建設工事が2カ所で進んでいる。そのうちの1つは全体が稼働した時点で日本最大の風力発電所になる。都市部では太陽光発電とバイオマス発電の導入プロジェクトが拡大中だ。バイオマスは地域の森林資源を利用して林業の振興にも役立てる。
- 日本海に洋上風力発電が広がる未来、地熱とバイオマスでも電力を増やす
秋田県の沖合3カ所で洋上風力発電所の建設計画が進んでいる。最大で150基以上の大型風車を日本海に展開する。陸上でも風力発電が拡大する一方、地熱やバイオマス発電の開発プロジェクトが活発になってきた。太陽光と小水力発電を含めて再生可能エネルギーの導入量を10年間で倍増させる。
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