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» 2017年02月17日 13時00分 UPDATE

電気自動車:日産自動車が無線充電でタッグ、効率最大94% (1/2)

無線充電の国際規格化が進行中だ。2018年の規格公開を目指して、システムの互換性を確保し、高効率を実現するための試験に成功。日産自動車は無線充電技術に強みがある米WiTricityと協力関係を結び、標準規格の確定に向けた取り組みを進める。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 米WiTricityは2017年2月9日、電気自動車の無線充電(ワイヤレス給電)に関して、日産自動車と協力関係を結んだと発表した(図1)。

 日産自動車のEV・HEV技術開発本部でグローバル・ディレクターを務める矢島和男氏は発表資料の中で次のように語っている。「当社は電気自動車の普及を促進する無線充電の可能性を信じており、WiTricityなどの技術エキスパートと協力して、相互運用性や高い効率、使い勝手を確保していく」。

 電気自動車の柔軟な充電が可能になれば、自動車としての使い勝手が高まるのはもちろん、再生可能エネルギーの余剰電力を吸収する巨大な分散型蓄電池としての役割も高まる*1)

*1) 総務省が公開している無線充電(WPTシステム)の実用化に向けたロードマップでは、2020年までを導入フェーズ、2021年以降を普及フェーズとしている。ロードマップでは電気自動車に限らず、消費電力がキロワット級の空調機器や産業機器などさまざまな機器で無線充電技術を利用することを前提にしている。

図1 無線充電の利用イメージ 出典:米WiTricity

コイルの形状が分かれる

 「当社はWiTricityとともにSAE J2954 Task Forceに共同提案を実施している。Circular-coilとWiTricityの技術を用いた提案だ」(日産自動車)。

 SAE J2954とは、自動車や航空機関連の標準化推進団体であるSAE International(SAE)が無線充電の相互運用性と性能を確保することを目指して策定中の規格。2018年に発表を予定する(関連記事)。

 「Circular-coil」とは何だろうか。無線充電では地上に設置したコイルと、自動車に搭載したコイルの間で電力をやり取りする(図2)。

 現在、J2954の標準化の流れに沿っている技術は大きく2つある。米Qualcommが提案する「Qualcomm Halo」技術と、WiTricityの「WiTricity DRIVEワイヤレス充電システム」だ。Qualcomm HaloではダブルD形と呼ばれる「日」の字に似た形のコイルを2つ用いる。WiTricityのコイルは円形(Circular-coil)だ。

図2 無線充電に必要な機器類 出典:総務省(情報通信審議会情報通信技術分科会電波利用環境委員会報告(案))

無線充電の互換性を保つ

 全ての電気自動車が無線充電に対応する未来を考えたとき、異なる技術(コイル)間で互換性を確保できなければならない。

 そこで2016年の夏と秋に、米エネルギー省アイダホ国立研究所(INL)とTDKが異なる技術間で相互接続性が確保できるかどうか、さらにその場合に高い効率を維持できるかどうかを試験した。トヨタ自動車とWiTricity、Qualcommの無線充電システムを検証した形だ。WiTricityは日産自動車と協力してシステムを提供、QualcommはインドTata Motorsの子会社である英Jaguar-Land Roverと協力した(図3)。

図3 INLが用いた試験設備 車体側(大きな金属板)と地上側を模しており、地上側の位置をさまざまに変えて試験した 出典:INL

 3.7kWから7.7kWまでの送受電を試験した結果、コイルの軸が正しい位置に確保できた場合、相互のシステム間で効率85-90%を超えた。互換性が確保できるメドが立ったということだ。

 「SAE J2954では2018年の標準規格発行に向けて、引き続きWPT(無線充電)の評価実験や標準規格の審議が継続される。当社とWiTricityは、協力してWPTシステムの効率向上や互換性の確保、低EMI(電磁妨害)技術など業界に貢献する技術情報を提供する」(日産自動車)*2)

*2) 日産自動車は自社製品に採用する無線充電技術について、WiTricityだけに限定していない。あらゆる可能性を検討している段階だという。「WPT技術は、SAEをはじめISOやIECの標準化組織により、将来の互換性を確保するために規格標準化が検討されている。日本では、JARI(日本自動車研究所)が国内の自動車会社、関係サプライヤの意見をまとめてISOやIECへ日本案の提案を発している。当社もこの組織に積極的に参画している」(日産自動車)。

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