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» 2017年03月23日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:太陽光に頼る途上国、フィリピンの事例 (1/2)

途上国の電力事情は日本とどのように違うのだろうか。地熱発電で知られるフィリピンは太陽光発電の導入量を急速に増やしている。大容量蓄電池の導入も始まった。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電(太陽光)は、立地に依存するものの、石炭火力を含む火力発電より安価になった。

 太陽光の発展は、途上国に強い影響を与えている。途上国では電力系統の信頼性が十分高くない中、電力需要が伸び続けている。このような状況で発電能力を高めようとすると、石炭火力だけでは対応できない。分散型電源を充実する必要がある。

 例えばフィリピンだ。まさに大規模導入の入り口に差し掛かっている(図1)。

図1 フィリピンのメガソーラーの一例 ドイツCONERGYが2015年、パンパンガ州(ルソン島)に建設した出力10MWの太陽光発電所。遠景に見えるのはアラヤット山(標高1026m) 出典:ドイツCONERGY

 2017年3月18日、フィリピン政府エネルギー省(DoE)は、同国北部のルソン島で出力150MWのメガソーラーの建設が始まったと発表した。フィリピンSolar Power Philippinesが、マニラから北北西の方向に約90km離れたタルラック州コンセプシオンに建造。2017年末までに立ち上げる。

 特徴はフィリピン国内で製造された太陽電池モジュールを利用すること。30万世帯に電力を供給する計画だという。

 DoEで長官を務めるAlfonso Cusi氏はシャベルを手にして着工式へ参加。発表資料の中で、プロジェクトについて次のように述べている。「わが国の電力需要は(ピーク時に)1万3000MWだが、供給は1万4000MWであり、余力が少ない。太陽光は電力需要が急上昇する昼間に役立つ。DoEは特定の発電技術を推奨していないが、太陽光にはわが国の電力の25%を供給する潜在能力がある。さらに今回の太陽光発電所は蓄電池*1)を併設しており、わが国のような島しょ国家に最適だ」。

 同氏によれば、フィリピンにおいて発電量に占める再生可能エネルギーのシェアは32%に達しており、これは東南アジア地域で最も高いのだという。

*1) 導入する蓄電池の出力・容量は未公表。なお、ルソン島に位置するサンバレス州マジンロックには米AES Energy Storageが出力10MWの蓄電池を導入し、2017年12月から運転を開始することが決まっている。

2016年末の導入量は900MW

 コンセプシオンの事例がどれほど巨大なのかは統計資料を参照すると分かりやすい。

 DoEが2017年3月22日に公開した、2016年末までに導入済みの再生可能エネルギーに関するデータによればこうだ。2016年末の太陽光の累積導入量は903MWに。コンセプシオンの事例は累積導入量の4分の1に相当する(図2)。

図2 フィリピンにおける再生可能エネルギーを用いた発電設備の累積導入量 2016年末時点の出力(MW)を示した 出典:DoEの発表資料に基づき本誌が作成

 今後も太陽光のプロジェクトがめじろ押しだ。現在201のプロジェクトが発表されており、合計容量は2131.8MWに達する*2)。同国の再生可能エネルギー法*3)では、プレジェクトが実際に建設に入る前に認可を受ける必要がある。

 DoEは2017年2月28日時点で、3月以降に建設が認められた太陽光を含む全発電プロジェクトを公開している。合計出力は5085.625MW。

図3 フィリピンの3地域 北からルソン、ビサヤ、ミンダナオ 出典:米海洋大気庁(NOAA)が公開した画像を基に本誌が作図

 フィリピンの国旗には黄色い星印が3つある。これは国を代表する北部のルソン島、中部のビサヤ諸島、南部のミンダナオ島を意味する(図3)。このため、エネルギー関連のプロジェクトも3つの地域ごとにまとまっている。

 ルソン島は最も面積が大きく、人口も5000万人に達する。ミンダナオ島は2番目に大きな島である。人口は2000万人。このため、認可された発電所に占める石炭火力の出力比率が高い。それぞれ77%、86%だ。

 中部のビサヤ地域は3番目に大きなネグロス島、8番目のレイテ島、9番目のセブ島といった中小規模の島々からなる。つまり分散型電源が適する。石炭火力の比率は48.3%といくぶん低く、太陽光が23.5%(65.67MW)を占める。

*2) 他の再生可能エネルギーを合計すると、320のプロジェクト、3987.72MWに達する。太陽光に次ぐのが水力(88プロジェクト、1484.02MW)、風力(22プロジェクト、260MW)だ。
*3) フィリピンは中央政府ではなく、州政府ごとに固定価格買取制度(FIT)を導入している。導入第1号は日本よりも早い2008年だ。FITの他にRPS法やネットメータリング法も導入している。2014年から2030年の期間でエネルギー原単位(関連記事)を40%引き下げる政策や液体バイオマスを用いた交通政策も打ち出している。

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