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» 2017年04月20日 11時00分 UPDATE

太陽光:太陽光発電物件に欠如する図面設計という問題 (1/3)

太陽光モジュールや電気系統機器の保守点検にとって欠かせない、設備全体の配置図や電気系統の全体構造が明記された「図面」が存在しないという現状。その背景・原因とともに、法制度の必要性について考えます(この記事は「O&M Japan」からの転載記事です)。

[O&M Japan,スマートジャパン]

この記事について

この記事は太陽光発電のO&Mに関する総合情報発信サイト「O&M Japan」に掲載された物件事業者こそ知っておくべき「太陽光発電物件に欠如する図面設計という問題」を、スマートジャパン編集部で一部編集し、転載したものです(アイティメディアの表記ルールに基づいて原本から表記を一部変更しています)。


太陽光発電設備には「図面」がない?

 住宅やビルなどの建築物、建造物には必ず「設計図」や「構造図」、「電気系統図」などの図面というものがあります。こうした図面は、その建築物のメンテナンス作業時に必ず必要となってくるものです。ところが、太陽光発電施設・設備の多くには構造図や電気系統図などの図面というものが存在しないのをご存知でしょうか。

 「そんな馬鹿な!」と思われるかもしれませんが、O&M事業者の作業員が設備のメンテナンスのために現場へ行き、作業依頼者(発電事業者)に「図面か施工関連の資料を見せてもらえますか?」と聞くと、ほとんどの場合「そんなものは持っていません(見たことがありません)」という答えが返ってくるのです。

 当然、モジュールやパワーコンディショナーなど個々の機器に関する簡単な取り扱い説明書はあるのですが、設備全体の構造や電気系統が分かる肝心の「図面」がないのです。そもそも発電事業者の方々に、施工時の「図面」があってしかるべき、という認識すらありません。

施工時の図面がないケースもある

「図面」がないとどういうことが起きるのか?

 個人住宅だけでなく、メガソーラーなどの大規模設備の多くにもメンテナンスに必要な図面が存在しないのですが、こうした基本的な図面がないと困るのはO&M事業者です。メガソーラーなど大規模な野立て物件の場合、現場周辺の詳細な地図や区画内にどうモジュールが設置されているか、といった図面すらない場合があります。

 区画ごとに所有者が異なる分譲型メガソーラーの場合、O&M事業者の作業員が発電事業者の方から点検の依頼を受けて現場に行っても、図面がないためにどの区画のどのモジュールを点検すればよいか、ということさえ分からないことがあるのです。

 また電気系統の図面がないと、各種機器の点検作業に大きな支障をきたします。O&M事業者の作業員が電気系統の点検を行うとき、配線図がないために個々の作業員の独自判断で点検を行うことがあります。そうなると次回、メンテナンスに来た別の作業員も「施工時の配置・配線」がどうなっていたのかが分からなく、適正な作業ができないという悪循環を起こしているのです。

 場合によっては、作業者が本来触ってはいけない箇所を触ってしまったり、配線を変えてはいけないところを変えてしまったりなど、新たな事故を発生させる可能性があります。

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