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» 2017年05月12日 11時00分 UPDATE

太陽光発電のトラブル対策(8):太陽光発電所の“履歴書”を持っていますか? (1/2)

今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第8回は発電所を売買する際に重要になる「デューデリジェンス」について解説する

[アドラーソーラーワークス 技術運用管理部 次長 渡邉敬浩,ITmedia]

 安定した分配金を生み出す投資の1つに不動産投資信託(REIT)があるが、不動産を証券化して投資家を募る際、物件内容を詳細に調査・評価することが一般的であり、その手続きをデューデリジェンスと呼ぶ。

 太陽光発電においても、投資の流れを踏襲した形態が数多くあるのは当然ご承知だと思うが、投資を行う際に、一般投資と同様に太陽光発電所の適正評価を把握するのは当然であり、リスク及びリターンを適正に事前把握するためにデューデリジェンスを実施するのは必須である。

発電ロスにつながる遠遮光の測定と、発電所の三次元分析のイメージ。デューデリジェンス手法の一種である 出典:アドラーソーラーワークス

 ところが、個人(または法人)にて太陽光発電所を単純所有するようなケースにおいても、諸制度、さらには経済的・技術的観点から事前リスク確認するのは必然であるにもかかわらず、最低限の法的適合性以外の手続きのみで、技術的なデューデリジェンスを省略する場合が多いように散見される。

 低圧発電所などのように、投資額が限定され、予算的な問題で十分な評価を実施しないケースについてはある程度、理解できるが、発電所の地質及び立地環境や設計評価、発電量予測、主要なコンポーネントの評価や施工出来形確認などを含む、当該地の環境及び技術面の評価は、太陽光発電事業の性質上、不動産以上に重要であるにもかかわらず、法的不備及び、歴史が浅いことから、確実に実行されているとは言い難いのが現状といえる。

 融資の調査において金融機関から発電量予測などを要求されることは比較的多いが、設計仕様、コンポーネントまた、工事品質の証明については、日本においては要求されることが極端に少ないのが現実である。

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