日本初の“電力会社に依存しない”ビル、太陽光100%で実証運用太陽光(1/2 ページ)

大和ハウス工業が佐賀県の自社オフィスビルで実証を開始。蓄電池を活用して太陽光発電だけの電力でビルの消費電力を賄い、電力系統に依存しないシステムの構築を目指すという。

» 2018年02月27日 08時30分 公開
[長町基スマートジャパン]

 大和ハウス工業(以下、大和ハウス)は2018年2月26日から佐賀県佐賀市の自社ビルで、で、再生可能エネルギーで電力を100%自給自足する実証実験を開始した。太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電力自立システムを導入しており、電力会社からの買電に依存しない、「日本初」(同社)のオフィスビルという。

 実証実験を行うのは2018年2月26日に完成した「大和ハウス佐賀ビル」。鉄骨2階建、延床面積約2444平方メートルのビルで、住宅や集合住宅、リフォーム事業などの営業所拠点として約100人の社員が利用する。

「大和ハウス佐賀ビル」 出典:大和ハウス

 同ビルは、経済産業省が実施した2017年度「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に採択されており、年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロになる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の基準を満たしている。同規模の一般建築と比較して電力料金を年間約600万円削減できるという。なお、「住宅性能評価・表示協会が定める建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)」においても、最高ランクの5つ星を取得している。

 ZEBを達成するにあたり、発電および蓄電システムについては、出力83.2kW(キロワット)の太陽光発電設備と容量75kWh(キロワット時)のリチウムイオン電池を組み合わせた電力自立システムを導入。エネルギーを効率良く生かせるよう、太陽光発電の電力を太陽光発電や蓄電池から出力される直流電力をそのまま活用できるようにし、電力変換損失を約8%改善した。

 ビルの電力需要を削減するために、省エネに関するシステムも導入している。電力消費の多くを占める空調の省エネを図るため、地下からくみ上げた井戸の水と屋上の太陽熱集熱器活用する自然空調システム「井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システム」を導入した。同規模の一般建築と比較して空調による消費電力を約7割削減できるという。このシステムの他、BEMS(Building Energy Management System)や、LED照明と人感センサーを組み合わせたシステムなどを導入し、全体の省エネを図った。

「大和ハウス佐賀ビル」に導入した省エネ・創エネ設備の概要 出典:大和ハウス工業
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