高圧一括受電をより便利に、住友電工が双方向通信システムを開発電力供給サービス

住友電気工業は高圧一括受電マンション向けスマートメーターに内蔵する双方向通信システムを開発。マンションの電気設備設計図を入手するだけで通信システムの設計が行えるようになるという。

» 2018年05月02日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 住友電気工業(以下、住友電工)は2018年4月、高圧一括受電マンション向けスマートメーターに内蔵するG3-PLC(Generation 3 Power Line Communication)方式の双方向通信システムを開発したと発表した。同システムを内蔵するスマートメーターの受注を、配電機器メーカーの日本高圧電気日本高圧電気(愛知県大府市)が開始している。

 近年、マンションなどの集合住宅では、電力会社と世帯ごとではなく、マンション1棟分の電気を一括で高圧電力契約し、各世帯へ低圧に変換して供給する高圧一括受電方式の採用が増加している。マンションの共用部や専有部の電力コスト低減と、管理費を引き下げられるメリットがあるためで、高圧一括受電マンションは、2020年には累計80万世帯を超えることが見込まれているという。

 高圧一括受電マンションでは、メーターデータ管理システムと電力使用量の計測を行うスマートメーターの双方向通信により、遠隔地からの電力使用量の把握が可能。それに伴い、検針や管理業務の自動化が進んでいる。

 このほど住友電工が開発したG3-PLC方式の双方向通信は、各住戸に設置するスマートメーターが安定的に通信を行う経路を自動的に設定できるようになる。その結果、導入物件で事前の通信試験や通信経路設定を行う必要がなく、マンションの電気設備設計図を入手するだけでシステム設計を行うことが可能になるという。

開発した双方向通信システムを内蔵するスマートメーター 出典:住友電気工業

 開発したG3-PLC方式双方向通信システムは、ノイズに強い最新G3-PLC方式の採用と、独自のノイズフィルタ技術との組み合わせにより安定性を高めた。さらに、ハードウエアによる通信の暗号化(AES-128)により、高いセキュリティレベルを確保したとする。この他、低出力の通信機器を用いて長い距離を通信する場合に用いられる手法であるホップ通信を採用。最大14ホップ通信により超高層マンションにおいても確実な通信が行えるとしている。

 なお、同システムを採用するスマートメーターの販売を行う日本高圧電気は、2014年から高圧一括受電マンション向けに無線通信方式で電力使用量を計るスマートメーターの供給を開始し、これまでに1万6000世帯を超える導入実績がある。

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