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» 2018年05月21日 07時00分 公開

エネルギー×イノベーションのシナリオ(1):エネルギーが都市にもたらすイノベーション、3つのモデルから考える (1/2)

電力・ガスの自由化が始まった日本。今後、エネルギーを基軸に社会に対してどういったイノベーションを創出していくかに注目が集まっている。本連載ではこうしたイノベーションの創出に向け、エネルギー供給の前提となる現在の社会インフラの課題、さらには配電・小売り領域の将来シナリオについて解説する。

[日立コンサルティング エネルギーコンサルティング本部 シニアマネージャー 竹内 大助,スマートジャパン]

 2016年4月に始まった電力の小売り全面自由化に続き、2017年4月にはガス小売りも全面自由化されるなど、エネルギー領域は本格的な自由競争時代に突入した。ただし、こうしたエネルギーの全面自由化は、これから起こるであろう変化の第一歩にすぎない。

 例えば、重要インフラの1つである電気事業における競争環境については、これまでの垂直型エネルギーバリューチェーンを分断し、発電領域と小売り領域に新たな事業者を呼び込むだけでは十分ではないため、各地域の旧一般電気事業者が行ってきた業務(需給調整や供給力確保など)を競争環境下で機能させる新たな取引市場の開設が必要となっている。このような取り組みは、先行する欧米の制度を参考に推進しているものの、エネルギーを取り巻く事情は国ごとに大きく異なることから、日本における本当の挑戦は新たなエネルギーバリューチェーンが再構築された後に始まると想定される。

 再構築の後に待っている本当の挑戦は、日本の社会や生活をより良く変革するためにエネルギー領域で何をどうしていくべきか、そのためにイノベーションをどう起こしていくかというものである。この検討には、社会や歴史、インフラ事情が異なる海外事例をそのまま模倣することはできず、世界初であり、日本発となる試みに挑んでいくことが必要不可欠であろう。

 そこで本稿では、このような日本発の試みに挑戦するエネルギー事業者各社のみならず、多種多様な社会生活者全員が将来のエネルギーインフラ像について考えるきっかけになることを期待し、エネルギー供給の前提となる社会インフラの課題と、生活に特に密接なつながりを持つエネルギー領域である配電・小売り領域を取り上げ、両者がどう変化していくのかについて将来シナリオを示してみたい。

図表1 2025年に向けた新しい電気事業のバリューチェーンの姿(一例)
図表2 新しい取引市場の概要 出所:経済産業省 資源エネルギー庁、2017年12月26日、中間論点整理(第2次)について(概要資料)(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denryoku_gas/denryoku_gas_kihon/seido_kento/pdf/20171226_02.pdf)を加工して作成
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