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» 2018年08月17日 07時00分 公開

基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(4):雑草対策の失敗を防ぐ「太陽光発電所版IPM」とは何か? (1/2)

日本でも稼働から数年が経過する太陽光発電所が増える中、課題の一つとなっている雑草対策について解説する本連載。今回は適切な雑草対策を行うために有効な「太陽光発電所版IPM」という考え方について解説する。

[増田幹弘 野原ホールディングス株式会社,スマートジャパン]

 前回は「費用をかけたのに効果なし、実は失敗が多い太陽光発電の雑草対策工法」として、トラブルが多い「緑化工法」、広く普及している「防草シート」と「草刈作業」の注意点を解説しました。

 今回は連載第2回の「太陽光発電のトラブルにつながる雑草、知っておきたい代表種」と、前回紹介した「草刈作業」のリスクを踏まえ、経済性、実務と安全性を考慮しつつ、雑草の種類や植生の状況に合った「最適な雑草対策工法」と「最適な防除方法のポイント」についてご説明します。なお、本稿は稼働運転中の太陽光発電所への対応を念頭とさせていただきます。

最適な雑草対策のために〜太陽光発電所版IPMという考え方〜

 私がおすすめする雑草対策の考え方は、国連食糧農業機関(FAO)が提唱する「総合的病害虫・雑草管理(IPM,Integrated Pest Management)」と、環境省の「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」を基本に、太陽光発電所の運営に適した雑草対策を組み合わせる方法です。私はこれを「太陽光発電所版IPM」として提唱しています。

 国連食糧農業機関が提唱するIPMをベースに、太陽光発電所版IPMを定義すると、「全ての用いることが可能な防除技術を十分に検討し、それに基づき、病害虫の密度の増加と発生を防ぎつつ、農薬その他防除資材(防草シート、砕石など)の使用量を経済的に正当化できる水準に抑え、かつ人および環境へのリスクを減少しまたは最小とするよう、適切な防除手法を組み合わせること」です。

 具体的には、次の4ステージのサイクルから太陽光発電所版IPMを実践していきます。

  1. リスクの洗い出しと予想をおこなう「調査」
  2. 防除の要否および実施時期を決める「判断」
  3. 適切な対策をおこなう「防除」
  4. 適切な防除後の検証と次年度以降の対策を決める「予防」

 この中でも特に、「調査」「判断」は重要です。なぜなら「防除」を実施するための判断基準になるからです。その次に重要なのは「予防」です。効果の検証だけでなく、新たなリスクへ対応準備につながります。そしてこれらの「調査」「判断」「予防」が整って初めて、具体的に実行する「防除」につながります。

「太陽光発電版IPM」を構成する4つのフェーズ
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