災害で損傷した太陽光発電所、発電損失リスクを残さない再生手法とは?太陽光(1/2 ページ)

さまざまな災害によってダメージを受けた太陽光発電所では、太陽光パネルなど設備の交換が必要になる場合もある。しかし、目視で確認できる部分だけを交換するだけでは、将来の発電損失のリスクを見逃す可能性も。

» 2018年10月05日 07時00分 公開

 2012年スタートした「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」を契機に、国内で再生可能エネルギーの普及が急速に進みました。総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は2011年では約11%でしたが、2016年には約15%となっています。特に高い利回りが期待できる太陽光発電においては、再生可能エネルギー先進国である欧州と同様に、急拡大していることはご承知のことと思います。

 その一方で、太陽光発電に関するトラブルが増えているのも事実です。さまざまな自然災害を想定する必要がある日本では、工事着工前に技術的なデューデリジェンスを行うことが、安全面や、事業の安定的な運営を行う上で非常に重要になります。

 しかし、近年の自然災害の大規模化により、どうしても回避が難しい事故が増えているのが実情です。例えば、想定を超える集中豪雨に起因する法面の崩落した、記録的な大雪による積雪で太陽光パネルが被害を受けた――など、さまざまな例が挙げられます。

地盤の崩落と太陽電池アレイの沈下による太陽電池へのストレス

 こうした災害によって発電設備が被害を受けた場合、修理もしくは交換などが必要になります。太陽光パネルに関しては、ガラスの破損やフレームの変形などは、目視検査にて確認・交換が可能です。しかし、こうした目視検査だけでは十分に回避できないリスクも存在します。

目に見えない「マイクロクラック」

 太陽光パネルの最小構成単位であるセルには、目視では確認が困難な「マイクロクラック」と呼ばれる微小な傷が発生することがあります。

 マイクロクラックは、必ずしも発電性能に影響するというわけではありませんが、クラックの発生状況によっては時間が経過すると共に、気温の変化による熱サイクルでのストレスなどによりクラックが進行し、発電能力が低下する可能性があります。そのため、メーカー側では出荷までに発覚した場合は、不良品として扱われる場合もあります。

 では、積雪や地盤の変化などの影響を受けた発電所の太陽光パネルに、将来の発電損失リスクにつながる可能性があるマイクロクラックが発生しているかどうかを確かめるにはどうしたら良いのでしょうか?

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