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» 2018年12月27日 07時00分 公開

基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(7):雑草対策に使う前に、太陽光発電事業者が知っておきたい農薬の安全性 (1/4)

日本でも稼働から数年が経過する太陽光発電所が増える中、課題の1つとなっている雑草対策について解説する本連載。今回は雑草対策に利用されることもある農薬について、その安全性や関連する法制度について解説する。

[増田幹弘 野原ホールディングス株式会社,スマートジャパン]

 今回は、前回記事「雑草対策に使うその前に、太陽光発電事業者が知っておきたい農薬知識 」よりさらに少し掘り下げ、農薬について、専門家や化学関係者向けの難しい内容を、できる限りわかりやすく説明します。知識を深めることにより、皆さまの理解度を深め、除草方法の選択肢を広め、より安全性の高い運営が実現できるかと思っております。

 今後、金融機関が事業者への融資や保険の査定に活用すると思われる、「太陽光発電事業の評価ガイド」(太陽光発電事業の評価ガイド策定委員会にて2018年6月29日制定、同年7月18日改訂)への対応を意識しつつ、事例を踏まえてお話したいと思います。

 また、農林水産省(主管)および環境省(共管)で農薬取締法の改正があり、それに伴い2018年12月1日付で省令も改正されました。省令改正は事業に直結し、内容も重要であることが多いです。特に今回の改正は、発電事業者の方、地権者の方、監督者(電気主任技術者)、作業者に影響する内容でしたので、本文の最後にポイントをまとめて解説します。

農薬の安全性

 前回のQ&Aでも少し触れましたが、発電所内で発生した雑草や、近隣に迷惑を及ぼす害虫(第1回で紹介した農薬に関するリスク項目を参照)などに対して利用する除草剤や殺虫剤は、農林水産省の登録制度のもとで「登録されている(=農薬)」か「登録されていない」かによって、発電事業に対するリスクと管理しやすさが大きく違ってきます。

 農薬取締法の中にある「登録した農薬(正確には農薬の登録制度)」は国(農林水産省)が認めた薬剤です。わかりやすく例えると、われわれ人が病気や健康維持に使用する薬剤(くすり)は「厚生労働省」が管轄省庁になります。「農作物」(樹木・農林産物も含む)に使用する薬剤(=農薬)は「農林水産省」が管轄省庁で、販売や管理、使い方などについて一定の明確なルール(法規制)を設けています。

 具体的には、農薬は農薬取締業法により製造、輸入から販売、そして使用(除草・防除作業など)と使用後(廃棄物)に至る全ての過程で厳しくルールが決められています。改正FIT法で定められている「関係法令の順守」という観点で考えると、これらのルールを正しく守る必要があります。一方で、管理項目が明確で、こうしたルールさえ守れば、安全に利用できるかつ管理しやすいというのが農薬のメリットです。

農薬取締役法の概要
農薬取締法と発電事業者のポイント

 「太陽光発電事業の評価ガイド」は、法令に順守した運営が行われているかを評価の主眼としています。そのため、雑草対策の除草作業の管理項目(3.2.9〜3.2.10)については「農薬取締法を順守」とすると、管理がしやすくなり、毎年の雑草対策における運用上の悩みも減ると考えています。

 また、地権者、近隣の農家や林業などへの説明、了解、承諾も得やすくなると思われます。よって、雑草対策に除草剤を使用する場合は除草効果と経済性だけではなく、リスク対策の観点から、農薬を使用し、農薬取締法を順守したほうが有効だと考えています。

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