“生成AI被害への訴訟費用”をクラウドファンディング──VTuber・潤羽るしあさんなどのデザインを担当したイラストレーター・やすゆき(@yasu00kamiki)さんの投稿が話題になっている。やすゆきさんは、自身の著作物が生成AIに無断利用され、利用者との示談交渉も決裂したとして、提訴を決意したと発表。そのために必要な費用として、667万円の支援を募っている。
26日午後8時20分時点で、支援者数は530人、支援総額は283万9600円となっており、目標進捗率は42%に及んでいる。支援金の募集は24日から始めており、期日は9月30日までとしている。
募集ページに記載した概要文によると、やすゆきさんは自身の著作物であるキャラクターの名前を使った「AI○○○○○」(※○にはキャラクター名が入る)と名乗るアカウントが、2023年5月に出現したのを発見。このアカウントは、やすゆきさんのイラストを無断で生成AIの学習素材などに使用し、画風が酷似したAI画像を生成していたという。
やすゆきさんはこのアカウントに対して、弁護士を通じてアカウントの削除依頼を要請。一度は謝罪の意向を示したため示談交渉を進めたが、最終的に利用者は「自らの行為には問題がない」との見解を示したほか、「やすゆきさんが告発したことで被害を受けた」などとも主張したという。一連の主張を受けたやすゆきさんは和解に至る可能性はないと判断し、提訴を決めたとしている。
やすゆきさんは「この裁判を通じて現行法での(生成AIへの)適切な司法判断を引き出したい」と裁判の目的を説明。個人の経済的な負担が大きいことから、クラウドファンディングで支援を募ることにしたという。なお、支援によるリターンはなく、集めた資金の使途については現時点で詳細な説明を記載していない。
やすゆきさんが公開しているクラウドファンディングのページには、具体的にどのような権利を侵害されたとして訴えを起こす予定かなどは具体的に触れられていない。ただし記事内に、著作権、著作者人格権について触れている箇所はある。また「生成AIユーザーのご支援はご遠慮ください」などの記載も見られる。
この投稿を見たXユーザーからは「微力ながら支援した」「全てのクリエイターに影響が出るような裁判が始まろうとしている」「これだけ時間と労力と金がかかる訴えを一般の人ができるわけない」など、やすゆきさんを支援する声が上がっている。一部のユーザーからは「狙い撃ちLoRAの話かもよく分からずとにかくいろいろ情報不足なような」など、記載情報が不足していると指摘する声も見られる。
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