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人型の“抱き枕ロボ”で遠距離恋愛を支援 金沢工大が提案 関係をあたためられる仕組みとは

» 2024年09月19日 19時31分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 遠距離恋愛支援システム──金沢工業大学中沢実研究室では、そんな研究をロボット専門展示会「Japan Robot Week」(9月18〜20日開催)で展示している。ロボットを通して、遠距離恋愛中のカップルのコミュニケーションをサポートする同システムは一体どのような仕組みなのか。研究発表した坂下水彩さんに話を聞いた。

 遠距離恋愛支援システムが提案するのは、人型の抱き枕ロボットだ。このロボットをペアで用意し、片方を抱きしめることで、ロボットに内蔵した圧力センサーがそれを感知。もう一方のロボットにそのデータを送ることで、抱きしめ返すという仕組みだ。これを遠距離恋愛中のカップルの自宅などに置くことで、会話や文字以外の“非言語コミュニケーション”を実現する。

金沢工業大学中沢実研究室が開発する「人型の抱き枕ロボット」

 ハグをし返す機能以外にも、パートナーの心拍や体温も再現する仕組みも。例えば、スマートウォッチ「Fitbit」で取得した心拍をスマートフォンのWebアプリに転送。ロボット胸部のポケットにそのスマホを入れることで、パートナーの心拍音を「ドクン、ドクン」という音で再現できる。他にも電気ヒーターを内蔵しており、人肌に近いぬくもりを感じられる機能もある。

遠距離恋愛支援システムに関するポスター

 同研究室がこの研究を始めたのは2018年。当時の研究担当者が実際に遠距離恋愛をしていたことから着想を得たという。現在研究を担当する坂下さんは「誰でも遠距離恋愛になる可能性があり、不安を抱いている人が多い」と説明。遠距離恋愛時にはコミュニケーションの頻度が低下し、文字中心のやりとりになることから、つながりが得られず不安になりやすくなると指摘する。

抱き枕ロボット使用のイメージ(2020年掲載の金沢工業大学の記事から引用

 今回の坂下さんの研究ではロボットの腕部分を改良。圧力センサーを改良し、ロボットの腕の接地面積を増やしてハグをより感じられるようにした。また、今後はカメラを搭載することで“顔認識で特定の人物のみにハグを返す仕組み”も検討中であるという。坂下さんはこの研究の目標として、ロボットの製品化を目指したいと話し、今後も改良を進める方針を示した。

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