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「AIは仕事を奪うのか?」に対する元マイクロソフト澤円さんの回答 企業経営の中で“絶対に置き換わらないもの”とは(4/5 ページ)

» 2024年09月26日 14時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

絶対にAIに置き換わらないもの

 マネジャーは偉くない。経営者も偉くない。役割が違うだけ。澤さんはそう持論を語る中で「管理職なんていうキーワードもなくしてしまえと思っている」と明かす。「管理はそれこそAIが得意。人がやるよりもAIがやった方がミスはない。じゃあマネジャーの仕事は何かというと、繰り返しになりますがビジョンを決めること。経営自体の指針は経営者が決めますが、そこに向かっていくためのチームのビジョンを決めるのがマネジャーの仕事です。ここは絶対にAIに置き換わらない」

ビジョンがなければAIは何もできない

 AIは言われたことをやるのが仕事であって、ビジョンがないと何もできない。マネジャーはチームの合意事項を定め、先回りして道を掃除し、コンディションを整える。ほとんどの場合、ここには人が絡む。人間関係をあらかじめ作っておくことや、利害関係で誤解が生まれないようにする。そうした調整はAIではなく人間の役割だと、澤さんは繰り返し強調した。

 初めの問いである「AIは仕事を奪うのか」に対しては、「AIは仕事を奪わない。AIを使いこなす人が仕事を奪う」として、講演ではCopilot+ PC(高いAI処理性能を持つビジネスPC)でのAI活用も実演。複数の領収書の概算合計値や、Windows純正のペイントソフトに搭載された下書きからの画像生成AIなどの実演を通じ、AIの活用で仕事のスタートラインを上に押し上げることができるとした。

モダンなオフィススペースをイメージした澤さんの下書き。それを基にすると……
こんなイメージをAIが出力する。これが完成形なのではなく、こうして作ったイメージからディスカッションを始められるようになる

 「デッサンは手元を見過ぎず空間を描くのが大事。なのでAIそのものを見るのではなく、マーケットを見て何かを描くぞというときにAIを使ってほしいですね。そのときにパワフルなコンピュータを使うのが生産性を上げるということ」

 澤さんはピーター・ドラッカーの言葉を引用し「『未来を予測する最良の方法は何か。未来を創ること』。テクノロジーの力で一緒に素敵な未来を作りましょう」と講演を締めくくった。

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