家電担当者は「非常に良い質問」とした上で「実は思いつくものは10年前時点でほとんど解決している」と言い切ったという。ただ、課題の方向性が“大きい”と“細かい”に分かれた。大きくなった方向は地球温暖化やCO2削減というのが一つ。細かくなった方向はパーソナライズ。「現在のほとんどの家電製品は、ソフトウェアによって各家庭ごとのコンディションに合わせるデザインが入っているはずです」と澤さんは指摘する。
「ただ、パーソナライズの際にあまりにも具体的に、変えられない状態で作ってしまうとすぐに陳腐化する。だからソフトウェアで抽象化しておいて、具体的な部分は個々人が自由に設定できる状態にしておく。そのときに生成AIはすごく便利。なぜならプログラミングやコマンド入力の必要がなく、自然言語でやりとりできるから」
ゆえに、抽象的思考を鍛えておくのが生成AIの活用において大事だと澤さんは話す。そして、抽象的思考は経営における生成AI活用でも大事だと話を続ける。
澤さんは経営の3層構造について「経営者は全体像が見えていないといけない。マネジャーは内部構造が見えていないといけない。そして一般社員は解像度が最も高い世界を見ていないといけない」とした上で、クルマにたとえて企業の在り方を解説する。
「まずビジネスとは何らかの形で社会貢献をするもの。それでいうと、スポーツカーでたとえて言えば社会貢献はスポーティーに走ること。『走る・曲がる・止まる』が『安全』の上に乗っている状態で、これがクルマの基本性能。ここにスポーツカーの味付け、パワフルな加速などのディティールが入ることでスポーツカーとして機能します。
一方、トラックの社会貢献は多くの荷物を運ぶこと。しかし、『走る・曲がる・止まる』が『安全』の上に乗っているのはスポーツカーと変わらない」
抽象度を上げると、マネジメントの仕事は全く同じになる。ゆえに、マネジャーは高く抽象化する能力と、自社ビジネスのディティール、つまり上下両方を理解した上でその間を通訳し連携をきちんとしなければいけないと澤さんは語る。
「それをやらないと、荷物がめちゃくちゃ載るスポーツカーとか、時速300kmで爆走するトラックを作ってしまう。会社の経営が傾くのは大体これで、ビジョンを見失ってしまったり、それとディティールが繋がらなくなってしまって『何のためにこれをやっているのか』が分からないタスクが増えてしまいコストがかさむと傾いていきます」
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