生成AIがビジネスシーンに浸透し始め、自社でAIチャットbotを活用する企業も増えつつある。顧客からの問い合わせ業務の代行、他部署からの1次応対を任せるなど使い方はさまざまあるだろう。そんな中、エンジニア向けの転職サービス「Findy」を運営するファインディ(東京都品川区)では「カレー屋bot」という少し変わったbotを運用している。
Findyは、エンジニア向け求人をさまざま掲載している。フロントエンドやバックエンドエンジニアはもちろん、データサイエンティストや機械学習分野に関する求人もある。
一方、それを運営するファインディの社員の中には、同社に勤めてから初めて、ITエンジニア業界に向き合う新人社員もいる。入社直後の新人研修や勉強会を開催するなどして、エンジニア用語や技術トレンドを学ぶ体制をとっているが、中には初学者には分かりにくい専門用語などもある。
そんなときに一役買うのが、カレー屋botだという。このbotにエンジニアに関する技術用語を投げかけると、エンジニア用語をカレー屋の営業活動に例えて説明してくれる。コラボレーションツール「Slack」内に設置しており、ChatGPTのAPIを元に開発している。
例えば「生成AIってなに」という質問をカレー屋botに投げると「カレーレストランに置ける『新しいカレーレシピを考え出すシェフチーム』です。客からのフィードバックや他の成功しているレシピを参考にしながら、新しいカレーのアイデアを生み出して、メニューに加えていきます」という回答をもらえる
他にも「JavaとGolangの違いをカレーで例えて教えて」と聞くと、以下のように回答が返ってくる。
「Javaが長年にわたり使われている伝統的なスパイスのセット(ルー)だとしたら、Golangは近年開発された新しいタイプのスパイスミックスに例えることができます。Javaルーは色々なスパイスを使って熟練したシェフによって調合されており、多くの種類のカレーに使えるように広く流通しています。一方、Golangルーは特定の効率やパフォーマンスを重視して新しい方法で作られており、現代的でスッキリした味わいを提供します。どちらも素晴らしい味を出すことができるが、使いたいカレーの種類や厨房の状況によって、選んだ方が良いスパイスセットは異なります」(原文ママ)
カレー屋botを開発したファインディの佐藤将高CTOは「技術への知識があると営業はじめとしたエンジニア未経験者の営業活動の成果が出るまでの時間が早くなる。そのため、このbotを開発した」と経緯を説明。なぜカレー屋なのかという問いには「カレー屋さんが好きだから」と回答があった。
利用者は主に、社内の非エンジニアの従業員。利用者からは「新人教育で使っている。教えにくい(新人目線では分かりにくい)専門用語をカレー屋で例えて、専門用語使わずに説明でき、なんとなくの想像がしやすいので使いやすい」「よく出る質問はまとめて蓄積して、オンボーディングの工数削減にも役立っている」などの声が上がっているという。
少し変わったAIチャットbotを新人教育に生かしているファインディ。もし同様の悩みを抱えているのならば、社内チャットで“カレー屋を開業”してみると、ちょっと仕事が楽になる……かもしれない。
詐欺電話にとって“最悪な悪夢”──悪質業者と長電話するAI 「ええと、何だったかな?」&自慢話を繰り返す
「AIチャットbotを作りたいけど、どんなリスクがあるの?」 デジタル庁、テキスト生成AIのガイドブック(α版)を公開
「フル出社で年収2000万円」or「フルリモートで年収800万円」──ITエンジニアとして働くならどっち?
ITエンジニアは“たけのこ派”が多い──転職サイトが483人に調査 「Crackerはダメです」などの声
ITエンジニア680人に聞く「ここ1年で興味を持った企業」 ファインディ調査Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.