2024年も生成AIは進化を続けて、さまざまな話題を提供してきました。そこで24年の流行語と一緒に、生成AIと社会情勢を振り返ってみましょう。
プロフィール
ITスタートアップ社員として、AIやデータサイエンスについてSNSによる情報発信で注目を集める。同社退職後は独立し、企業におけるChatGPT及び生成AIの導入活用やDX(デジタル・トランスフォーメーション)を支援している。企業研修において、JR西日本、シーメンスヘルスケア、日立製作所などの実績がある。イベント登壇はソフトバンク、特許庁、マクニカ、HEROZを含め多数。東京大学と武蔵野大学にて、特別講義を実施している。著書に「データ分析の大学」「AI・データ分析プロジェクトのすべて」「これからのデータサイエンスビジネス」がある。10月23日には最新書籍「会社で使えるChatGPT」を発売した。
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4492047794
X(旧:Twitter):@maskedanl
24年初頭は「猫ミーム」で猫が音楽に合わせて踊り「Bling-Bang-Bang-Born」や「はいよろこんで」では人間もスマホの前で踊って動画を投稿しました。パリ五輪の新競技「ブレイキン(ブレイクダンス)」でも、見事な踊りが注目を集めました。同じようにIT業界も生成AIに良くも悪くも翻弄されて、踊らされていました。
過去に何度も流行した(といわれるが実感はない)「アサイーボウル」と同じく、生成AIも第三次AIブームに続く第四次AIブームに突入しています。もっとも生成AIブームは一過性の流行ではなく、アサイーボウルやタピオカと同じく短期間で消えることはなさそうです。
生成AI「界隈」も盛り上がりを見せていますが、特定の趣味や分野を示す界隈では、怪しい人達が騒ぐのがつきものです。ご多分に漏れず25年もSNSで大げさに生成AIについて騒ぎたてるプロ驚き屋には注意したいものです。
(関連記事:【現代AI童話「驚き青年」】──「生成AIはヤバすぎる最強神ツール!?」 “プロ驚き屋”にご用心)
24年には生成AIを業務で活用する事例が増えており「カスハラ(カスタマーハラスメント」に対しても人間ではなく生成AIが対応できるようになりました。もっとも人間を生成AIでなだめられるとは限らず、結果としてさらに怒った人間を人間が対応せざるを得ない場面もありますが。
(関連記事:生成AIでカスハラ検知、「SNSに書くからな」などNGワード外の表現も判定 コールセンター用システムで)
こうして生成AIが人間の相手する現状に対して、NHKの朝ドラ主人公のように「はて?」と、疑問を呈する人もいるでしょう。納得できないことに声を上げることは大事ですが、人間関係には角が立ちます。そんなときはChatGPTに追加された「Advanced Voice Mode」(高度な音声モード)を利用すれば、人間ではなく生成AIで声を上げる遠回しな主張もできるかもしれません。
(関連記事:ChatGPTで“人間と会話しているような”音声機能の提供開始 全有料ユーザーを対象に)
さらに生成AIにおける音声機能の進化は顕著で、リアルタイムの翻訳も可能になりました。「50-50」で50本塁打と50盗塁を達成した大谷翔平選手も、ChatGPTを使っていれば通訳ともめることもなかったでしょう。もっとも微妙なニュアンスまでは理解できませんし、生成AIによる通訳を通した会話では人間同士の信頼関係までは構築できません。「技術的には可能」と「現実で使える」には、まだまだ高く厚い壁があります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.