ヒューマノイドに対する世界的注目度の高まりは、米テスラのCEOイーロン・マスク氏が「工場でロボットを導入し、大規模に人員を置き換える」という構想を打ち出したことにも関係している。
TechShare代表の重光貴明氏は、「テスラのような企業が本気で量産に乗り出せば、部品やモーターの価格が下がるだけでなく、多数の実証データが短期間で蓄積されるかもしれない。そうなれば、業界全体の技術進歩が予想より早まる可能性がある」と述べた。
ただし、実際の工場や物流の現場にロボットを全面投入するには、高い耐久性と信頼性、そして安全要件を満たす必要があるため、一朝一夕に実現するわけではないとも指摘している。
それでも、G1のような比較的低価格のヒューマノイドロボットが登場したことは、当初は研究室のデモンストレーションに限定されがちだった二足歩行機体が、より広い層に試される時代に入ったことを示唆している。
自律歩行や握手といった一つひとつの動作が積み重なり、作業や接客など現実のタスクに対応できる段階まで技術が磨かれていけば、ヒューマノイドの実用化が一気に進む可能性もある。最終的に、テスラが掲げるような“ロボットが工場で働く未来”がどれほど早く訪れるかは、今後の量産化やデータ収集のスピードにかかっているだろう。
眼前で歩き、手を差し伸べてくるG1の姿は、そうした未来の一端をリアルに感じさせる展示だった。
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