このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高いAI分野の科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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米コーネル大学が運営する「arXiv」は、物理学や数学、コンピュータサイエンスなどの論文を無料で公開・閲覧できる英語ベースのプレプリントサーバだ。査読前にいち早く世界に論文を共有できるという利点を持つ。arXivは単にPDFとして保存されているだけなので一方的な閲覧に限られるが、今回紹介するサービス「alphaXiv」は、各論文を介してWebブラウザ上で質問や議論ができる。
利用する際には、各論文URLの「arxiv」を「alphaxiv」に変えるだけで開始できる気軽さもうれしい。ユーザーインタフェースは、左が元の論文、右が入力や出力ができるエリアのサイドバー形式になっている。ユーザーは元の論文を見ながら、アシスタント機能を使ってAIチャットで質問やサーベイなどが可能。5月21日現在、Gemini 2.5ProやClaude 3.7 Thinking、o4-mini、GPT-4.1などの強力なAIが備わっている。
また、目次や小見出しありで整理された日本語文のブログ形式で、英語論文を一発で出力してくれる。URLを変更してalphaXivを起動し、上段の「Blog」タブをクリックすると一発で選択した論文がブログ形式として多言語(言語変換できない論文もある)で出力される。一部で「Code」タブもある。
全体に対しての質問も可能だが、論文内の文章にハイライトを引いて、その箇所に対してだけの質問や翻訳も可能。論文で提案された技術が格納されているGitHubリポジトリをリンクさせたり、別の論文をリンクさせたりもできる。
また論文に対し、自分にしか見ることができないプライベートコメントを残したり、alphaXivユーザー同士で共通で見られる公開コメントを残すことも可能。公開コメントには返信も可能で、返信があると通知が届く。
論文に対して「いいね」もでき、トレンドとしてどの論文にいいねが多く付いているかを確認できる。またマイライブラリ機能があり、読みたい論文、読んだ論文などカテゴリー別に保存できる。ダイレクトメッセージもあり、alphaXivユーザー同士で交流も可能だ。他にもさまざまな機能が無料で使い放題である。
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