新規プロダクトの企画時は、まず生成AIなどで開発したプロトタイプを持ってくること、企画書のみ提出はNG──DeNAが一部の部署で、ある新制度を採用していることが7月4日までに判明した。「企画書を書くより実装の方が早く、現物を見て判断した方が良い判断ができる」「企画者が生成AIの挙動を理解している方が企画の精度が上がる」といった判断に基づく制度という。
制度を採用しているのは、4月に発足した「AIイノベーション事業本部」。対象はエンジニアだけでなくビジネス職やデザイナー職などのクリエイティブ職など、同本部の全員だ。
制度導入のきっかけは前身となる組織で浮き彫りになった、企画書とプロトタイプの乖離(かいり)だ。2024年10月に発足した同組織では、企画書の制作後、プロトタイプを作るタイミングで、仕様などが当初の想定と乖離(かいり)することが増えていた。
一方、生成AIの登場や進化により「企画書を書くより実装の方が早く、現物を見て判断した方が圧倒的に良い判断ができ、企画者が生成AIの挙動を理解している方が企画の精度が上がる」ことから、新部署として立ち上がった4月、企画提出の要件にプロトタイプの制作を加えた。
また「企画を出す人は一定数いる中で、それが通るのは企画者の熱量が高く(言わずとも)プロトタイプを作ってきている場合が多い。実際、それぐらいの熱量を持ち、ハードルを超えてくる人でないとプロダクトは作れない」(AIイノベーション事業本部 本部長 住吉政一郎さん)との考えもあるとしている。
住吉さんによれば、すでに個人向けのアプリ開発プロジェクトなど、15件ほどの企画がプロトタイプありきで提案されたという。プロトタイプ制作に使われるツールは「Cursor」「Claude Code」「Devin」「Cline」「V0」「Bolt」などのAI開発ツールや、AIデザインツール。デザイン職の場合はこれらと合わせてデザインツール「Figma」なども使う。
プロトタイプ制作に掛かる時間は「開発だけにかかる時間は2〜3日。それを踏まえたやり直しなど踏まえて2週間で企画が通るものもある」(住吉さん)。現時点では、新卒1〜2年目の社員がプロトタイプ込みでの企画に積極的という。
「自分の業務をやりながら『この領域をやりたい』と試作品を持ち込んでくるような人が、結果として次のフェーズに進んでいる。企画職だが、普段からずっとアイデアがあり、それをツールを使って形に落とし込めるような熱量の高い人が通過していることが多い」(住吉さん)
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