OpenAIによると、GPT-5は「医療やヘルスケアに関する質問への対応でこれまでで最も優れたモデル」でもあるという。試しに、記者のここ数日の悩みとして「最近、朝起きると頭痛がするんだけど、なにかの病気なのかな?」と相談。すると「よくある原因」「受診を考えたほうがいいサイン」「自宅で試せる対策(軽い場合)」と項目を整理して頭痛について回答した。
さらには「今の頭痛が『後頭部なのかこめかみなのか』『ズキズキなのか重い感じなのか』『いつから続いているのか』など症状のパターンを教えてくれれば、より具体的に原因の可能性を絞れます」と付け加え、1度の回答で終わることなく、症状の詳細なやりとりを希望。頭痛に関する分析を進めていった。
一方、GPT-4oにも同様の質問してみたところ、考えられる原因や対策などは出力したが、追加で症状の詳細を聞き取り、分析を進めることはなかった。
なお、OpenAIは「ChatGPTは医療専門家の代替ではない」として「検査結果の理解を助け、診察時間内に適切な質問を行い、治療方針を検討する際のパートナーとして活用してほしい」としている。
他にもOpenAIは、GPT-5を「これまでで最も優れた文章作成のコラボレーター」と表現。「大まかなアイデアを、文学的な深みとリズムを備えた、心に響く魅力的な文章へと導き変換してくれる」とうたっている。
果たして、次世代AIが考える“文学的”な文章とは何なのか。「300字で小説を書いて。文学的な表現も交えて」と入力した結果がこちらだ。
雨上がりの石畳は、夕陽を吸いこんで赤銅色に光っていた。
紺のコートの裾を揺らしながら、彼女は振り返らずに歩く。
呼び止めたい言葉は喉の奥で熱を持ち、声になる前に溶けていく。
街角の花屋から漂うユリの香りが、記憶の底を攪拌する。
十七の夏、同じ道を笑い合って通った日々。
「また明日」――その約束の軽さを、あの頃の僕らは疑わなかった。
彼女の影が細く伸び、やがて路地の闇に溶ける。
世界から一色が抜け落ちたように、空は急速に蒼を深めていく。
掌にはまだ、触れられなかったぬくもりの形だけが残っていた。
一方、GPT-4oに同様の依頼をした出力結果は以下の通り。
森の奥、苔むす小道の先に、一軒の古びた山小屋があった。毎年秋になると、そこには名もなき老詩人が1人、ふらりと現れるという。彼は誰とも語らず、ただ落葉の音に耳を澄まし、風の声と会話していた。
ある年、少年が迷い込み、詩人に出会った。彼は言った。「どうしてここにいるの?」詩人は答えた。「言葉を沈めに来たのさ。叫び過ぎた詩は、静寂に還さねばならぬ」
その日から、少年は毎年秋に小屋を訪れた。詩人は詩を一編だけ手渡し、笑みを残して姿を消す。十年後、少年は青年となり、再び訪ねた小屋には、もう誰もいなかった。机の上に一冊の詩集と短い言葉があった。
「声は消えても、響きは残る」
風が木々を揺らし、詩人の声が確かにそこにいた。
どちらが“文学的”かという判断は難しい一方、OpenAIによると、GPT-5は、詩など自由度の高い文章形式でも「形式の維持と表現の明確さを高いレベルで両立する」という。「こうして向上した文章生成能力は、レポートやメール、メモの作成や編集など、ChatGPTが日常的にユーザーを支援するタスクにも生かされる」としており、あらゆる文章のレベルが向上しているようだ。
2023年3月のGPT-4の登場以来となる、OpenAIの次世代AIの登場は、多くのユーザーにとって待望の瞬間だったことだろう。今やOpenAI以外にも、有力AIモデルを各社が次々とリリースしている状況で、GPT-5が市場にどのような影響を与えていくのか。今後とも注目が集まる。
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