米OpenAIは8月8日(日本時間)、待望の新AIモデル「GPT-5」を発表した。しかし満を持してリリースされたこの次世代モデルは、技術的な進歩とは裏腹に、ユーザーから前例のない批判の嵐に見舞われた。なぜGPT-5は、これほどまでに歓迎されなかったのだろうか?
これまでGPTシリーズのメジャーバージョンアップは、多くのAI研究者やユーザーに衝撃を与えてきた。例えば、米オックスフォード大学のコンピュータサイエンス部門教授であるマイク・ウッドリッジさんは、2023年3月のGPT-4のリリースに際して「2020年のGPT-3のリリースは、AIコミュニティーに大きな興奮の波紋を広げた」と述べた。
GPT-4についても「ChatGPTの優れた言語機能は、私たちに新たな可能性の広がりを示した。(GPT-4の特徴となる)マルチモーダル生成AIは、これらの可能性をさらに拡大していくだろう」と期待をあらわにしている。そのため多くの人々が次世代モデルであるGPT-5を心待ちにし、その開発動向に注目してきた。
しかし、当初24年半ばの完成を見込んでいたGPT-5の開発は大きく遅延。24年10月には、「GPT-5(と位置付けられるであろうモデル)が年内に来る」との報道に対し、OpenAIのサム・アルトマンCEOがXで「フェイクニュース」と否定。社外の臆測と社内計画のズレが表面化した。そうした中、ようやく25年8月になってリリースしたのがGPT-5だ。
アルトマンCEOはGPT-5を「もう過去のモデルには戻れないほど画期的」だと述べ、自信を示した。リリース前夜には、アルトマンCEOがXに映画「スター・ウォーズ」に登場する巨大兵器「デス・スター」の画像を投稿。ユーザーからは「私のホワイトカラーの仕事」という文字が付けられた惑星を、「GPT-5」の文字が入ったデス・スターが破壊するコラージュ画像が投稿されるほど、期待が大きく膨らんでいた。
GPT-4から約2年以上が経過した中での新モデルの公開は、AI界における一大イベントとして位置付けられていたのだ。しかし実際には、GPT-5のリリースされると、オンラインコミュニティーのRedditには、24時間で4600以上の「いいね(upvote)」を集めた批判スレッドが立つなど、世界中のユーザーが失望と怒りの声を上げる結果となった。
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