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【現代AI童話「AIスクール・まじか☆サギカ」】──「僕と契約して生成AIインフルエンサーになってよ」 繰り返される悲劇とはマスクド・アナライズの「AIしてま〜す!」(4/5 ページ)

» 2025年12月05日 12時13分 公開

【第4話】「最後に残ったのは……」

 そんなある日、突然スクールと連絡が取れなりました。不思議に思いながら、テレビをつけると「スクールの悪徳商法に対して行政指導が行われた」というニュースが流れてきました。さらに受講生による集団訴訟にまで発展しています。受講者が集まっての被害者会を結成して、関係機関への働きかけや弁護士との訴訟準備を進めていたのです。

 運営実体が明るみに出ると、スクールでは受講生を集めるために、ネット広告や有名人とのコラボ動画に多額の広告費を投じていました。さらにサポート対応する社員は表向きの人数より圧倒的に少なく、ほとんどの社員は会員集めに従事して、受講生に紹介する仕事を探す担当者はいませんでした。

 SNSでは元関係者が「摘発前に会社の資金は主催者の別会社に移動させた」という真偽不明の告発が起こります。過去にスクールを褒めていたビジネス系メディアは記事や動画を黙って削除し、共演した有名人も過去の出演を無かったことにしました。こうして悪評が広まって退会者が続出し、スクールは運営停止となりました。

 一方、残された真希さんはクラウドソーシングで稼げず、案件を取れる実績や知名度はありません。フリーランスから転職するにも前職のスキルや経験は評価されにくく、中途半端な生成AIスキルも役に立ちません。家賃や公共料金の支払いが苦しく、年金や健康保険を滞納してしまいます。

 その後、真希さんは親の説得と借金返済のため、地元に帰りました。将来の仕事とお金に困らないように生成AIインフルエンサーを目指したものの、結果としては仕事とお金を失っただけでした。

生成AIスクールを巡る資金の流れ

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