LLMの弱点を知った上で、どう指示を出せばいいのか。研修ではプロンプト(AIへの指示文)の書き方も紹介された。
村上氏は「優秀な新入社員に仕事をお願いするイメージで書くといい」と説明する。LLMは人間のように「察する」ことが苦手だ。言われていないことは分からない。だから新入社員に頼むときと同じように、やって欲しいこと(命令)と、なぜそれをやって欲しいのか(背景情報)を明確に伝える必要がある。「議事録を作って」と頼むなら、会議の情報も一緒に渡す。当たり前のようだが、AIが相手だとつい省略しがちになる。
では、新入社員が迷わず動けるようにするにはどうするか。まず「あなたは優秀な英語教師です」のように役割を与える。立場が明確になれば、細かく指示しなくてもそれらしく振る舞ってくれる。出力の形式をそろえたい時は、お手本を見せるのが早い。「ポジティブ」「ネガティブ」と一言で判定して欲しいなら、そのフォーマットの例を1つ示せばいい。
複雑な仕事を一度に丸投げするのも避けた方がいい。「新しいサービス案を考えて、その計画も作って」と頼むと、いまひとつなアイデアの計画を延々と練り始めてしまう。まず「サービス案を10個考えて」と指示し、良さそうなものを自分で選んでから「この案の計画を作って」と段階を踏む。途中で軌道修正もできる。
指示の出し方に慣れてきたら、プロンプト自体をLLMに相談する手もある。「このプロンプトに足りない情報はありますか」と聞けば、改善点を教えてくれる。新入社員が成長すれば、仕事の進め方を一緒に考えられるようになる。LLMとの付き合いも、それに似ているという。
村上氏が技術的な解説からではなく、“弱点”の体験から研修を始めたのには理由がある。「LLMを理解すると、多くのAIサービスに通じる知識が得られます。新しいAIツールが出たとしても『あ、中身これなんだね』という状態になれる」という。LLMの仕組みを知れば、弱点も見える。弱点が見えれば、付き合い方も分かる──という考えだ。
得意・不得意が分かれば、どこを任せてどこを人間がやるか、自分で判断できる。新しいツールが出ても、中身が同じLLMなら応用が利く。逆に仕組みを知らなければ、ツールが変わるたびに振り回されることになる。「仕組み上、(AIが)苦手そうな作業だと思ったら、別の手段がないか自分で考える。それがAIとのうまい付き合い方です」。村上氏が研修で繰り返し伝えていたのは、この姿勢だった。
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