三井不動産は12月23日、同社の植田俊代表を模したチャットAI「社長AIエージェント」を独自開発したと発表した。植田代表の経歴や発信内容などをもとに、同氏の「ものの見方・考え方」を再現したという。
社長AIエージェントは、12月から全社に試験展開している。植田代表の公開情報に加え、キャリアの転機となったプロジェクトやプライベートなエピソードなどを取り込んでおり、社員が質問を投げかけると、社長の認識を模した回答を出力する。「社長の視点から全社戦略や市場環境を理解し、社長をより身近に感じながら日々の判断・行動に生かすことができる」(同社)
また、スライドの構成をテキストで入力するだけでMicrosoft PowerPoint形式の資料を生成する「資料自動生成AI」も内製し、12月から全社員に提供中。スライドごとに自然言語の指示でブラッシュアップできる機能を備える。「レイアウト崩れが起きにくい独自の生成方式」を採用しており、出力したスライドをそのままPowerPointで編集できる。
同社の宇都宮幹子DX本部長を模した「DX本部長AIエージェント」も独自開発し、10月からDX本部内で利用を始めている。日常の相談をできる「共感モード」や説明資料の改善を支援する「資料レビューモード」など6つのモードを搭載。実際の宇都宮DX本部長への説明の前に同AIエージェントの事前レビューと内容の公開をルール化した結果、部内の資料作成や修正時間を平均約30%削減したとしている。
他にも、同社は10月1日から米OpenAIの法人向けAI「ChatGPT Enterprise」を全社員約2000人に導入し、全社員を対象とする同サービス向けの研修も実施した。また全社85部門から1人以上、計150人の「AI推進リーダー」を選出し、AI活用に関する現場のアイデアをMicrosoft Teamsなどで全社共有できるようにした。
その結果、ユーザーが事前指示やツールでChatGPTの出力をカスタマイズする「カスタムGPT」を、導入開始から約3カ月で約500件運用。「物件情報の参照・要約」「経理処理アシスタント」「プレスリリース下書き支援」などのタスクで活用しているという。同社では内製と外製を問わずにAIを活用し、全社の業務時間10%以上削減を目指す。
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